機械設計技術 ベアリングの固定方法と仕組み ベアリングナット 菊座金の使い方、止め輪と圧入 組立交換

軸受けの設計には様々な条件を考慮しなければなりません。荷重の大きさ、荷重の方向、軸受けの回転数など。それを優先してどのような固定方法を選定するのが最適なのか。基本的な考え方と構造設計の基礎を解説しています。
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【書き起こし】機械設計技術 ベアリングの固定方法と仕組み ベアリングナット 菊座金の使い方、止め輪と圧入 組立交換 

(00:13) こんにちは中村です。いつもご視聴ありがとう ございます。 このチャンネルでは、inventor 3d cadの 使い方や機械設計についてお話ししています。 今日は、ベアリングの固定方法について解説していきます。 今日、お話しする内容は次の3つです。 一つ目、軸とベアリングのはめあい公差。 二つ目、ベアリング固定の方法と考え方。 三つ目、3つの代表的な固定方法。 では今日も、inventor 3d cad の アニメーションを用いて、解説していきたいと思います。 はい、それでは今日は、このような題材を用意してみました。 シャフトがベアリング2個で支えられてて、 右側が入力側、左側が出力側とします。 左側はプーリーとか歯車がついて、 動力を伝達すると、そのような軸受構造ですね。 ちょっと回してみたいと思います。 はい、このようにベアリング2個で支えられていて、 ベアリングがしっかりとハウジングと シャフトに固定されていることによって、 安定した回転が得られると、そういった構造ですね。 それでベアリングの固定方法というのは、 いろいろなパターンがあってですね、
(01:24) まず考えないといけないのは、どんな力が この軸受に作用するのか、 どの方向にかかるのか、 そしてどんな使い方をするのか、ということですね。 この3つを考える必要があります。 ではちょっと、ベアリングが見えるように してみたいと思います。 はい、今シャフトにベアリングが2つ付いていて、 このハウジングに左側から挿入されていて、 オレンジ色のベアリング押さえで、抜けて こないように押さえていると、そういう構造 ですね。 軸受を設計するときに配慮しないといけないのは、 まず組立分解ができる構造にするということですね。 ベアリングは当然ですけども、 延々と使えるわけではなくて、 寿命がありますので、寿命が来た時に簡単に 交換できるようにしないといけません。 このオレンジ色のベアリング押さえを外すと、はい、 このようにシャフトを抜けばベアリング全体が抜けるようになります。 はい、シャフトを左側へ引っ張っていくと、 このように分解してメンテナンスができると、そういう構造ですね。 このベアリングの内径側とシャフトの嵌合部ですね、
(02:34) ここは通常しまり嵌めにするのが、 一番オーソドックスな固定方法です。 ある程度の締め代を持って、軽圧入することで 簡単にシャフトから抜けないと、いう構造にするのが一般的です。 例えばこのシャフトと ベアリングの内径側をすきま嵌めにしたとき、 どうなるかというと、 メリットとしては分解がしやすいということですね。 隙間があるので、分解が容易だということです。 逆にデメリットは何かというと 回転させた時に、ベアリングの内輪側、 内径側とシャフトが滑ってしまう可能性があるんですね。 ですから、例えばこの軸受の使い方が、 手のハンドルで回して何かを 昇降するとか、その程度の使い方であれば、 すきま嵌めで問題ないと思います。 逆に大きな トルクがかかって、高速で回るような軸受に すきま嵌めは、良くないと思いますね。 滑ってしまいますので,、締め代を持って軽圧入する ほうがいいです。 はい、それではシャフトとベアリング内輪の 固定方法二つ目を紹介したいと思います。 二つ目はベアリングナットというものを使う 方法ですね。
(03:44) ベアリングナットを使用すると、非常に強固に固定することができます。 しかもナットが緩むことが絶対にありません。 先ほどのように、軸とベアリングを軽圧入 しておいて、さらにベアリングナットで 軸方向から固定することで、完全に固定する ことができます。 はい、今この赤いもの、これは何かといったら菊座金と言います。 ベアリングナット用の菊座金です。 これとベアリングナットを使うことで、ナットが緩まなくなって、 ベアリングの内径側をしっかり固定することができます。 はい、このようにシャフトから軸方向に動かして、 ネジのところの一部に、溝が切ってあるんですね。 そこに菊座金のリップですね、 それがはまってくるような構造になっています。 菊座金は、この内径側のところに 出っ張った部分があるんですね。 これがシャフトの溝にはまっていくと、 そういう構造になっています。 はい、菊座金単体で見るとこのような感じですね。 外径側に菊のようにギザギザとでていて、
(04:53) 内径側にこのように、一部飛び出しているところがあるんですね、 ここをシャフトの溝に入れ込んで固定すると、 そういうような構造になっています 。 はい、菊座金を入れたら、次はこの青色の ベアリングナットをねじ込んで固定すると、 これでしっかりとベアリングの内輪側が 固定されました。 でですね、これ絶対緩まないようにするために、この菊座金の外周側の リップですね、これを折り曲げるんですね。 で、このベアリングナットの溝に入れ込んで 固定すると、そうすることで菊座金は軸の 溝に内径側はハマっていて、ベアリングナットは 菊座金の外周側とハマっていると、いう状態になるので、 ベアリングナットは緩まないと、そういう構造を実現できるのが、このベアリングナットです。 はい、それでは軸単体の加工を見ていきたいと思いますけども、 このベアリングがハマるところ嵌合部に、 途中までネジが切ってあります。で、 ベアリングがハメ合うところ、このかたの部分ですね、 そこまで菊座金用のU溝を エンドミルで加工していると、そういう構造ですね。
(06:05) それでは、3つ目の固定方法を紹介していきます。 3つ目はC型止め輪ですね。 通称スナップリングという機械要素で止めます。 シャフトに溝を切っておいて、この赤い止め輪ですね、 軸用の止め輪を工具で開いて、 はめ込んでパチンと溝に入れると、そういう止め方ですね。 このデメリットはですね、やはり軸方向に ベアリングと止め輪の間に隙間があるので、 ベアリングが動いてしまう可能性があるということですね。 ということは、スラスト方向に 荷重がかかるような、使い方をする軸受には不向きです。 止め輪は、せん断で破断することは、 あまりないですけども、どちらかと言うと せん断力が怖いのではなくて、外れるのが 怖いですね。 ですから、スラスト方向に軸に力がかかる場合は、この止め輪の固定方法は辞めたほうがいいと思います。 ハンドルでこの軸を回して、使うような扱い方であれば、 スラスト方向には力がかかりにくいと思いますので、 そういう場合は加工も安いので、 止め輪の加工を採用するのはいいと思います。 はい、こちらがシャフト単体の加工の図 ですね。これ見ていただくと分かりますけども、
(07:15) 先ほどのベアリングナットと違って、非常に加工が 簡単ですね。溝を切るだけな のでコストが非常に安く済みます。 ベアリングナットの場合はネジを切らないといけませんし、 エンドミルでU溝も切らないといけないですね。 ですので、軸をどう使うかによって軽圧入か 止め輪だけなのか、ベアリングナットを使うの か, というのを選定すればいいと思います。 はい、それでは今日は、ベアリングの固定方法 3つをお伝えしました。 軽圧入 、ベアリングナット、止め輪、この3つの方法を 状況によって使い分けして頂けたらいいと思います。 それでは今日の動画は以上となります。 今日もご視聴ありがとうございました。 また次の動画でお会いしましょう。

 

・この動画は現役の機械設計エンジニアが作成しています
・講師は3D CAD歴26年、機械設計技術者1級を取得しています
・色覚弱者の方にも無理なく見ていただけるように、配色に配慮しております
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