トーチの動かし方

TIG溶接(Tungsten Inert Gas)は、アルゴンガスを用いた高品質な溶接方法で、非常に綺麗で精密な溶接が可能です。以下に、製造業の方向けにTIG溶接のトーチの動かし方を専門的に解説します。

🔵溶接開始前の準備:
トーチの適切なアングルとアーク長さを確保するため、トーチを約15~20度の角度でワークピースに対して傾け、電極の先端がワークピースから約2~3mm離れるようにします。また、シールドガスの流量を適切に設定してください。
🔵アーク点火:
トーチスイッチを引いてアークを点火し、アーク長を一定に保つため電極とワークピースの距離を一定に保ちます。アークが安定するまで焼き込みを行い、溶接開始地点までアークを移動させます。
🔵溶接方向:
トーチを溶接方向に向けて動かし、一定速度で進めます。溶接方向は、縦、横、斜めなどワークピースや溶接部位に応じて選択します。トーチの動かし方には「推進式」および「引き式」があり、推進式は前進方向にトーチを動かし、引き式は後退方向にトーチを動かします。
🔵プール制御:
溶接プールの形状とサイズを観察しながら、適切なトーチ移動速度と電極の角度を維持します。プールが大きくなりすぎないように注意し、一定のサイズを保ちます。また、溶接プールの左右のエッジに均等に熱が伝わるように、トーチを微妙に左右に振りながら進めると、より綺麗なビード形状が得られます。
🔵フィラー金属の添加:
必要に応じてフィラー金属を追加します。フィラー金属は溶接プールの前縁に接触させることで、適切な量が溶け込むようにします。フィラー金属の添加間隔や量を一定に保ち、均一なビード形状を目指します。
🔵溶接終了:
溶接終了地点に到達したら、トーチをゆっくりと後退させながらアークエネルギーを減らし、溶接プールが徐々に固まるのを確認します。これにより、クラックや欠陥が発生しないようにします。最後に、トーチスイッチを離してアークを消し、シールドガスが数秒間流れることを確認した後、トーチを持ち上げます。

練習を重ねることで、TIG溶接のトーチの動かし方をマスターし、品質の高い溶接が可能になります。適切なトーチのアングル、アーク長さ、移動速度、プール制御、フィラー金属の添加など、各要素を意識しながら溶接を行うことで、美しく均一なビード形状を実現できます。状況に応じて、様々な溶接方向や動かし方を試し、最適な方法を見つけ出してください。



Skip to content