硬質クロムめっき

硬質クロムめっきは、工業製品の耐摩耗性、耐食性、および摩擦係数の低減を目的として広く用いられる電気化学的処理です。このめっきは、クロム酸浴に浸漬された被めっき物を陽極にし、陰極となるクロム電極と共に電流を流すことで行われます。

硬質クロムめっきの主な特性は、高硬度(900-1100HV)、優れた耐摩耗性、耐食性、耐熱性、そして自己潤滑性による低摩擦係数です。これらの特性から、機械部品、油圧シリンダー、金型、プランジャーポンプなど、さまざまな産業分野で用いられています。

めっき厚は、用途に応じて数μmから数百μmまで選択可能です。また、めっき前の基材の表面処理やめっき後の研磨により、所望の表面粗さや形状精度を実現できます。

ただし、硬質クロムめっきには環境面での課題があります。六価クロム酸塩を含むクロム酸浴は毒性が高く、発がん性物質であるため、適切な廃液処理が必要です。また、代替技術として、環境負荷の低いトライバロジーコーティングやダイヤモンドライクカーボン(DLC)などが開発されています。

今後も硬質クロムめっき技術の環境負荷の低減や、新たな代替技術の開発が求められるでしょう。

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