【ノイズ対策】プロが実践するノイズフィルタの使いこなし術!

ノイズフィルタの向きと入出力インピーダンスの関係について解説しています。

 

【書き起こし】【ノイズ対策】プロが実践するノイズフィルタの使いこなし術! 

(00:05) こんにちは、エンジャーです 今回のテーマは ノイズフィルタの向きと 入出力インピーダンスの関係です ノイズフィルタを使っていると データシートの減衰特性通りの性能が出ない といった経験があるかと思います そこで今回の動画では ノイズフィルタの減衰量が なぜデータシートと異なるのかを 入出力のインピーダンスという観点で 解説してみたいと思います ノイズ対策の実践で役立つ知識を わかりやすく解説していくので ぜひ最後までご覧ください では、参りましょ~ まずは入出力インピーダンスとは何か というところから見ていきましょう 電源ライン用ノイズフィルタにおける 入出力インピーダンスというのは 商用電源のインピーダンスと 電子機器のインピーダンスのことを指します ここでは電子機器内部に ノイズ発生源があると仮定すると 電子機器のインピーダンスを
(01:08) 入力インピーダンス 商用電源のインピーンダンスを 出力インピーダンスと定義されます そしてノイズフィルタは データシートの中で減衰特性として ノイズの減衰量が規定されていますが この減衰特性は 入出力インピーダンスの大きさによって 変化する性質を持ちます つまり電子機器の型式や 電源系統の接続先によって 減衰量が変化するということです そのためデータシートの中では 一定の条件で性能を比較できるように 入出力インピーダンスが50Ωの条件で 特性が規定されていますが 実際の設置環境では必ずしも50Ωではないため いざノイズフィルタを使ってみると データシートどおりの性能が得られない といったことにつながってしまいます では最後に実際のノイズフィルタを使って 入出力インピーダンスと向きの関係性について 検証してみたいと思います ここではTDKラムダ製の 2種類のノイズフィルタで検証を行います
(02:13) まず1つ目は RSENシリーズです このRSENシリーズのノイズフィルタは 最も汎用的なノイズフィルタで コモンモードノイズに対して コンデンサとコイルが1つずつ実装された 1段のノイズフィルタになります 回路定数については コモンモードチョークコイル(CMC)が10.6mH Yコンデンサが 4700pFです なおノイズフィルタの種類の違いについては 以前別の動画で解説しているので ノイズの流れ方や用語の意味などを知りたい方は 概要欄のリンクからチェックしてみてください 次に2つ目がRSHNシリーズです こちらはCMCが2つ実装されている 2段のノイズフィルタです 4.2mHのCMCが2つと 4700pFのYコンデンサが実装されています このノイズフィルタの特徴としては 入力と出力のどちらから見ても 回路構成に違いがないという点で
(03:19) これらの回路構成の違いが 入出力のインピーダンスに対して どのような影響があるのかを確認してみます ではいよいよ減衰特性を測定していきます 今回は測定にあたって NanoVNAを使用します 測定方法については まずコモンモードノイズの減衰量を測定するために 電源ライン間を電線でショートして その電線をワニ口クリップを使って NanoVNAと接続します そしてGND側については ノイズフィルタを接地するための アルミ板と接続します このアルミ板については ノイズフィルタのFGと接触させて コモンモードノイズに対して バイパスさせるために使用されるもので FGとアルミ板を低いインピーダンスで 接続することが重要になります 実際に使用する場合には ノイズフィルタをネジ止めして 面で接触させることで 低インピーダンスでの接続を行いますが 今回は簡易的な実験なので
(04:22) 銅箔テープを使って FGとアルミ板の電気的な接続を強化します 実際に使用するときもそうですが 必ずFGとアルミ板が電気的に接続できているかを テスターなどを使って確認しておいてください 接続が完了すれば あとは減衰特性を測定するだけです では RSENシリーズの 減衰特性について見ていきましょう まずはノイズフィルタの 3番、4番の端子から1番、2番の端子に向かって 流れる場合の減衰特性です すると青線の50Ω系の減衰量と比較して 入出力インピーダンスの組合せ方によって 減衰量が大きく変化していることがわかります この結果の中でも 特に赤色の線で示されている 入力インピーダンスが低く 出力インピーダンスが高い条件では 5MHzあたりで反共振が発生することで 減衰量が大幅に低下していることがわかります この反共振については
(05:27) 入力インピーダンスが低いために 発生しているものと考えられますが いずれにしても 入出力インピーダンスの組み合わせによって これだけ減衰特性が変化するというのが 実際にノイズフィルタを使ったときの 減衰量の差とも一致するかと思います つぎにノイズフィルタの向きを反転させて 入出力の向きを入れ替えてみます すると減衰特性の傾向もガラッと変わり 特に赤色の線で示されている 入力インピーダンスが低く 出力インピーダンスが高い条件が 最も減衰量が大きくなっています ということで RSENシリーズのように 入出力の向きによって 回路構成が変わってしまうノイズフィルタの場合 向きと入出力インピーダンスの組み合わせによって 減衰特性が大きく変化するため ノイズの減衰量が物足りないと感じたら 入出力の向きを入れ替えて比較してみることが 有効なノイズ対策の手段になり得ます つづいてRSHNシリーズの
(06:31) 減衰特性についても見ていきます こちらもまずは 3番、4番の端子から1番、2番の端子に向かって 流れる場合の減衰特性です こちらのノイズフィルタも 入出力インピーダンスによって 減衰量に差が生じていますが 先ほどのRSENシリーズのような 反共振は発生していません そのため入出力インピーダンスによって 特定の周波数で減衰量が大きく変化する というようなことはなく 単純に減衰量の大きさだけが変化しています ではつづいて RSHNシリーズのノイズフィルタも 入出力の向きを入れ替えて 減衰特性の変化を確認してみます すると向きを入れ替えたにもかかわらず 減衰量の大きさが ほとんど変化していないことがわかります 測定精度の問題で 各条件とも減衰量が若干上下していますが 向きによる影響はほとんどありません 実はこれには原因がありまして このRSHNシリーズはコモンモードノイズに対して
(07:37) コイル(CMC) コンデンサ コイル(CMC)の順で配置されており 入出力のどちらから見ても 回路構成が全く同じになっています つまりノイズフィルタの外側から見ると 向きが入れ替わっているのですが 内部の回路的に見れば 全く同じ回路になっているということです 回路が同じならば 減衰量に変化がないというのも当然です このように2段のノイズフィルタの場合 向きによって回路構成が変わらないものもあるので 実際にノイズフィルタを使うときには どのような回路構成のフィルタなのかを きちんと確認した上で 使用することが大切になります ということで 今回のまとめです 今回はノイズフィルタの向きと 入出力インピーダンスの関係をテーマに 減衰特性に差が生じる原因について 解説しました 今回の検証においても 入出力インピーダンスによって 減衰量に差が生じていましたが これは実際に電子機器に
(08:41) ノイズフィルタを組み込んだときには 様々なインピーダンスの組合せとなるため データシートどおりの性能が得られない といったことにつながっています そのためノイズフィルタを使用するときには データシートに示された減衰量は あくまでも参考として 実際に機器に組み込んでみて 減衰量を確認することが大切です またそのときに 思ったような性能が得られなければ ノイズフィルタの向きを反転することも 有効な手段の1つとなります ただしこの向きの反転については ノイズフィルタの回路構成によって 有効度合いも変わってくるので そのあたりも実際に色々と実験しながら 最適なノイズ対策手法を探してみてください ということで 今回は以上になります 最後までご視聴ありがとうございました

▼関連動画
ノイズフィルタの選び方 https://youtu.be/JsxcM8ld_hQ

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EMC村の民 https://engineer-climb.com/

▼関連記事
ノイズフィルタの効果的な使い方 https://engineer-climb.com/emi-filter-technique/

0:00 オープニング
0:42 入出力インピーダンスとは
1:54 検証対象
3:23 測定方法
4:40 RSENシリーズ
6:24 RSHNシリーズ
8:16 エンディング

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▼音楽
Walk by ikson http://www.soundcloud.com/ikson
Music promoted by Audio Library https://youtu.be/szEfp07r5Cg

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