機械図面の書き方の解説です。上手い図面を描くにはどういう図の展開をすれば見やすい図面になるのか?というコツを解説します。この動画は【前編】です。
【書き起こし】機械設計技術 機械製図 機械図面の書き方 上手い図面を描くコツ【前編】
(00:00) こんにちは中村です。いつもご視聴 ありがとうございます。 このチャンネルでは インベンター3DCADの使い方や機械設計についてお話ししています。 今日は 上手い図面を描くコツについてお話ししていきます。 今日お話しする内容は次の3つ ですね。 1つ目、正面図を正しく選ぶ 2つ目、余計なことを描かない 3つ目、最小の線と 記号で最大の表現 それでは、今日もインベンター3DCADを使って詳しく 解説していきます。 はい、今日用意した題材のモデルはこのようなパーツですね。 フランジ形状があって真ん中に穴が開いて います。 そして反対側はネジが切ってあって、ベアリングが はまるような形状になってますね。 それではこのパーツを図面に展開していっ た時に、どのように展開するといい図面に なるか、読みやすい上手い図面になるかを解説して いきます。
(01:18) それでは今から上手い図面を書くコツに ついてお話ししていきますけども、寸法の入れ方とか記号の入れ方というのは お話ししません。 今日のメインのお話は 図をどのように 展開するとシンプルでわかりやすい図面に なるか、そういう一味違った図面のコツですね。 手書きの時代の人がやっ ていた分かりやすいシンプルな図面の書き方を解説していきたいと思います。 はい、それでは先ほどの部品を製図してみ ました。 この 図面は実は悪い例の図面ですね。 皆さんこれを見られて、悪いところが4つ5つ見つかる でしょうか。 パッと答えられる人は 図面のノウハウがある方だと思っていただいていいと思います。 では次に良い 図面を見てみたいと思います。 はい、こちらが良い図面ですね。 パッと見た感じ先ほどよりかなりシンプル だと思います。 はい、こちらが悪い図面 こちらが良い図面ですね。
(02:33) はいそれでは、この悪い図面のどこが悪いのかというのを具体的に解説していきたいと 思います。 はい、それでは悪いところを一つ一つ解説し ていきたいと思います。 まず一つ目、正面図を正しく選ぶというのが あったと思いますけども、この図面は正面図を正しく選べてないんですね。 今この図面で言うと正面図は上のこの図、 これが正面図ですね。 左右にそれぞれ展開していって、その下に 断面A-Aの断面図が描かれています。 まず正面図を選ぶ基準は 何かというと、 その部品の機能や形それから加工方法を 一番よく表している面を正面図に選ぶん ですね。 ですからこの部品の正面図は実はこの下側 の断面 これを正面図に選ぶべきなんですね。 ここにほとんどすべての情報が入っている と思います。
(03:40) 旋盤加工する外形の形状、それから中ぐりの穴 の形状、ねじ切りの形状、ほとんどすべてこの図面でわかると思います。 ですからこの部品で正面図に選ぶべきは、 この断面A-Aが正面図になるということです。 はい、それでは次のダメなところ2つ目です ね。 これは余計なことを書かないというところなんですけども、この図面には余計なものがいっぱい入ってます。 例えば右上のボルトピッチを描いたところ、六か所5.5のキリがあいていると思いますけども、 ここに破線いっぱい入ってますね。 まずこの破線は全く不要です。 この右側の絵で表したいのはこの5.5のキリ穴の配置 ですね。 このピッチ円直径とキリの直径、それからキリの数、これが記入できればいいわけです。 それから反対側の左側面図 これも余計なものがいっぱい入ってます。
(04:50) この左側に展開した時に何が見たいかと いうと平取りの中心位置からの寸法 それから キー溝の寸法ですね。 この辺りさえ表現できればいいので、ボルト穴のピッチ円直径 とかフランジの75Φの外径とかこの辺りは必要ないということですね。 これは全部 消した方がいいということになります。 それから今正面図にあたる部分の破線ですね。 これも全部必要ありません。 JISでは 分かりにくくなる場合は 破線の表現は不要であるという風に決まっ てるんですね。 ですからここの破線は必要ありません。 これが余計なことを書かないという意味ですね。 はい、それでは次は3つ目これはどれかと いうとこの 断面A-Aですね。 正面図から 断面を取って、下側に断面A-Aを展開しています。 この正面図の中心線、この中心線は基本中心線と呼ばれる中心線です。
(06:04) 基本中心線というのは何かというと、その 部品の対称を表す基本的な中心線、これを 基本中心線と言います。 そしてこの基本中心線で 断面にする場合は、断面の指示は不要と決まってるんですね。 ですからこの断面A-Aの矢印のところの指示、それから下側の断面A-Aという文字、これも両方とも不要だということになります。 はい、それでは次は最小の線と記号で最大の表現をする、これの意味を解説していきます。 この右上の5.5キリの配置を書いた 図ですけども、このフランジの75Φの外径も不要ですし、当然先ほど言ったように 破線も不要です。 そして中心部分に開いている穴、これも不要です。 そしてこのボルト配置、左右対称なので半分省略することが できます。 図面を展開するときの基本的な考えとして 一つの図で表せれるものは一つの図に とどめるということですね。
(07:15) そしてその一つの図で表現できない部分を 側面図や上面図として 展開していくということです。 ですからこのボルトピッチの配置を書き たい場合はボルトの穴と中心線だけ描き ます。 そして左右対称であれば半分だけ描けばいいということになります。 はい、それでは最後にもう一つ 解説していきたいと思います。 この図面の悪いところ、悪いところというよりはJIS の規格で外れた書き方をしているところがあります。 それはこのM6のタップ2か所がDカット のところに空いていると思います。 これを今断面A-Aの方で寸法とタップの指示がしてありますけども、これはダメなんですね。 なぜダメかというと、穴とかタップというのはその加工面から 指示をするという風に決まっています。 ですから正解は、この上側の面ですね。 このタップ を開ける側のところに、寸法もタップのサイズの指示も書かなければならないということです。
(08:27) 今この断面A-Aの方で 示していますので、これは間違いだということになります。 はい、それでは今の話をもとに、このいい図面の方を見ながら解説していきたいと思います。 まず一つ目、正面図の選び方ですね。 正面図はその部品の主な形状がわかる面、 それから主な加工方法がわかる面を正面図に選ぶということです。 これは一番大切なことですね。この選び方を間違えると変な図面になってしまいます。 この部品の場合は、この 断面のハッチングがしてある面この断面の図、これが正面図になります。 そしてこの正面図に寸法とか記号を集中して入れます。 そうすると、例えばこのように左側面図右側面図上面図 がなくなったとしても、この正面図さえあれば、ほとんどの加工形状がわかるようになっていると思います。 これが正面図だということですね。
(09:34) その部品の 代表的な形状を表したところに 寸法と記号を集中して入れると、この面だけでほとんどの情報が得られるということになります。 これが正面図ですね。 はい、そしてこの正面図で表すことができない部分を展開していきます。 まずこのフランジ形状の75Φのところ に空いているボルトピッチですね。 この配置がわからないので右側に面を起こしていきます。 はい、このように面を起こしました。 面を起こすということは、正面図で表現できなかったものを表したいので、その表したいものだけ書きます。 今の場合だとボルトピッチそれからボルト のバカ穴のサイズ、これだけを展開して書くということですね。 75Φの外径とか12Φの穴は書く必要はありません。しかも左右対称なので 半分だけ書けばいいですね。 そこに ピッチ円直径とボルトの穴サイズと個数これを記入するということです。
(10:50) そしてJISのルールで左右対称の半分を省略する場合は、左右対称記号というのを 入れることになっています。 ここに二重線があると思いますけども、これ が左右対称記号ですね。 これでボルト穴の配置が表現できました。 はいそして次はキー溝とDカットですね。 これの形状の表現が必要になります。 ですから左側にこの絵を展開していきます。 はい、これでキー溝とDカットの寸法を表現することが できました。 ここもこのDカットと キー溝の形状だけ表現します。 ですから75Φのフランジの外径などは 描きません。はいそれでは最後あと表現でき ていないのはM6のタップ2か所ですね。 これは先ほど説明したようにタップを 開ける側から表現をする必要がありますの で、上面図を起こしていきます。 はい、これで上面図を起こすことができました。
(12:03) このボルトの配置の寸法とタップのサイズ と個数、それからあと表現できていなかった キー溝の長さ、この辺りを記入していきます。 これで上手い図面シンプルな図面が完成し ました。 このように最低限の線と寸法記号で最大の 表現をするというのが良い図面ということになります。 これ悪い図面と比べてみるとだいぶシンプルだと思います。 これが悪い図面ですね。ごちゃごちゃしてて見にくいと思います。 こちらが良い図面ですね。 もう一度おさらいすると、どの面を正面図に選ぶかというのが一番大切な最初の スタートです。 そして正面図を選べたら、正面図に集中して 寸法と記号を入れていきます。 そして正面図で表現できない部分、 それを 側面図とか上面図に展開していきます。 そしてその展開した面に表現したいものだけを書くと いうことです。
(13:16) 余計なものは書かないということですね。 3DCADの場合はどうしても最初に正確 に全部配置されてしまいますけども、逆に 消していく作業になりますね。 手書きの時代は余計なものを書かなくて済んだんですけども、このCADの時代になって余計なものを書かないというよりは、余計なものを消していくという作業になります。 少し手間がかかるんですけども、このように シンプルで見やすい図面を書くということは誤作を招かないということになりますね。 ややこしい図を描くと 誤作してしまいますし、加工業者さんも図面を見るのに非常にナーバスになってしまいます。 ですから、シンプルで良い図面を描くというのは非常に重要だということです。 はいそれでは、前編はこれで終了しますけども、後編ではインベンター3DCADを使っ て、この図面の展開の操作方法を具体的に 解説していきたいと思います。
【後編】はこちら⇒https://youtu.be/2UH68S0JY1M
・このチャンネルのメンバーになって特典にアクセスしてください
https://www.youtube.com/channel/UCLyt2jaYra8-VmYzkD8eVNw/join
・メンバーシップに入ると、限定動画の視聴、限定3DCADデータのダウンロード、オンラインセミナー(初回限定メンバーシップ価格)に参加できます。
・公式LINEにご登録いただくと動画配信のお知らせ、その他情報をお届けします
https://lin.ee/o7X861I
・Inventor操作方法のZoomセミナー申し込みページ
【教えている人のレベル】
・機械設計技術者1級有資格者
・機械設計歴:30年
・Inventor30日間無償体験版ダウンロード
https://www.autodesk.co.jp/products/inventor/trial-intake
・メンバー限定動画
・パーツ作成編再生リスト
・アセンブリ作成編再生リスト
・機械要素再生リスト
・アセンブリのすべて【前編】
・歯車のバックラッシ0にする5つの方法
・機械設計に資格は必要か 機械設計技術者試験とは?!
・3DCADのメリット
・動力計算
・ミスミmeviyのようなCAD/CAMシステムは機械設計技術者の未来をどう変えるのか?
・パーツ作成のすべて
https://youtu.be/tnk1QP46HpE
・機械設計副業のススメ
・3D PDFの使い方
・AutoCADの3面図から3D立体化
・機械設計技術者の仕事と3DCADの未来
・AutoCADの図面枠をそのまま使う方法の動画↓
・プロジェクト作成から図面展開までの流れ↓
・図面置換の方法↓
https://youtu.be/aUtgnB4er4s
・素早くモデリングする方法 スケッチ共用↓
・この動画は現役の機械設計エンジニアが作成しています
・講師は3D CAD歴28年、機械設計技術者1級を取得しています
・色覚弱者の方にも無理なく見ていただけるように、配色に配慮しております
#機械設計CADの学校動画一覧 #3DCAD #inventor チュートリアル
このチャンネルのメンバーになって特典にアクセスしてください:
https://www.youtube.com/channel/UCLyt2jaYra8-VmYzkD8eVNw/join