Fusion360超入門講座 第03回【スケッチ編】

ご安全に!現役機械設計者の竹の子と申します。

前回のFusion360講座動画の投稿からだいぶ時間が空いてしまいました。
育児に仕事にと奔走しており遅れました。

今回の講座動画の内容は、Fusion360のスケッチです。
モデリングの最も基本となるスケッチについて学んでいきましょう。

この動画のコンセプトは2つ
・初心者さんに向けて徹底解説
・専門用語は極力使わない(使う場合は必ず解説入り)
このコンセプトでYouTube上で最もFusion360初心者さんにやさしい動画を目指します。

また、ナレーションを音声合成ソフトに変えました。
音声ソフトは「CoeFont.studio」を使わせていただきました。
Voiced by https://CoeFont.studio
録音時に子供の声が入り、なかなか録音作業が進まなかったのが理由です。
ときどきイントネーションが訛りますが、生暖かく見守ってもらえるとありがたいです。
もし、聞き取りづらい場合は、字幕機能をONにしてください。

動画の目次—————————————
00:00 あいさつ

01:32 スケッチとは
02:52 スケッチ平面
05:46 スケッチコマンド
07:20 幾何拘束
08:56 出版書籍紹介
09:52 スケッチの考え方
11:48 スケッチの注意点
14:58 課題

19:24 おわりに
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【書き起こし】Fusion360超入門講座 第03回【スケッチ編】 

(00:00) ご安全に! 竹の子ラボラトリー運営者、現役機械設計者の竹の子です。 現役の機械設計者として、10年間CADを使ってきたノウハウを活かして、 世界で一番CAD初心者の方にやさしいFusion360講座を発信しています。 今回は第03回となります。 まだ、第01回、第02回を見ていない方は、動画概要欄に Fusion360講座動画の再生リストと動画のリンクを張っておきますので そちらからご覧ください。 第03回となる今回の動画では Fusion360のデザイン機能のスケッチについて解説していきます。 やっとFusion360に触れます。 今回解説していくデザイン機能は、 三次元モデルの形状を作り上げていくモデリング機能のことです。 ここの動画でCADを勉強している殆どの方が、 このモデリング機能を使いたくて勉強していると思います。 それほど、CADとして重要になる機能です。
(01:05) まったくのゼロからモデリングが出来る様に、特に細かく解説していきます。 いくつかの動画に分かれてご紹介すると思いますが、 しっかりついてきてください。 頑張っていきましょう。 動画の最後には、実際にやって覚えてもらえる課題を用意しています。 次回の動画にも今回の課題を引き続き使って行うことを用意しているので、 時間のある時にぜひ挑戦してみましょう。 Fusion360のデザイン機能を使いこなすには、 まずスケッチをしっかりと理解していきましょう。 スケッチは立体的なモデルを作るための基となるものです。 CADによっては、プロファイルとも呼ばれます。 スケッチは形状の断面図を平らな面に絵として描いていきます。 そのスケッチを様々なコマンドを使って、立体的なモデルにしていきます。 スケッチを描いて、コマンドで形状にする、 スケッチを描いて、コマンドで形状にする、 と繰り返して立体的な形状をモデリングしていきます。
(02:10) 絵を描くって、絵なんて描いたことないよ。 と思うかもしれないですが、 イラストなどの絵とは、CADのスケッチは全く違います。 使い方さえ覚えれば、誰にでもスケッチを描けます。 Fusion360の実際の画面で説明していきます。 画面に映っているモデルを作る際に使ったスケッチはこちらです。 意外に簡単なスケッチで、このモデルの形状はできています。 これくらいなら誰にでも描けると思います。 結構複雑な立体形状でも、スケッチとコマンドを繰り返して作られています。 一つ一つのスケッチは単純で簡単なものでも、 十分複雑な形状が作れます。 スケッチを描くのは平らな面だとご紹介しましたが、 スケッチを描く面をスケッチ平面と呼びます。 スケッチ平面には最初からある基準平面や、 自分で作成した平面、モデルの平らな面を使えます。 これら三つの種類の面にスケッチを描いて、モデリングしていきます。 基準平面は、ブラウザの原点ツリーの中に最初から入っています。
(03:18) それぞれ、XY平面、XZ平面、YZ平面の三枚が用意されています。 この基準平面は、原点に沿っているので、 モデリングを始める時は、この基準平面から始めます。 次の自分で作成した平面は、基準平面やモデルから、 自分がスケッチを描きたい平面を作ることができます。 平面の作り方はたくさんあります。 デザイン機能のソリッドタブ、サーフェイスタブ、 シートメタルタブにそれぞれ、構築タブがあります。 構築タブのプルダウンを開くと、 平面を作るコマンドが、8種類用意されています。 この8種類のコマンドを使って 自分がスケッチを描きたい場所に平面を作ります。 オフセット平面は、基準平面やモデルの平らな面を、 入力した数値分離した位置に平面を作成します。 一番よく使う平面作成コマンドです。 傾斜平面は、直線や軸を中心に角度を付けた平面を作成します。 接平面は、円柱や円錐の側面に接する平面を作成します。
(04:26) 中立面は、二つの面にちょうど間に平面を作成します。 2つのエッジを通過する平面は、 その名の通り2本の直線を通る平面を作成します。 このコマンドで選択する2本の直線は、 同一平面上にないと平面は作成できません。 3点を通過する平面は、3つの点を通る平面を作成します。 このコマンドで選択する3つの点は、 同一平面上になくても平面は作成できます。 点で面に接する平面は、曲面に正接に接する平面を作成します。 自由曲面や単純な曲面に接する平面を作りたい場合は、 このコマンドを使います。 パスに沿った平面は、 スケッチやモデルのエッジなどの曲線に垂直な平面を作成します。 スイープコマンドを使いたいときに重宝する平面作成コマンドです。 以上が自分で平面を作成する8つの方法です。 次は、モデルの平らな面は平面を作成せずに、 そのままスケッチ平面として選択できます。
(05:33) 選択できるのは、平らな面のみで、曲面は選択できないので気を付けて下さい。 これらの基準平面、自分で作成した平面、 モデルの平らな面の3つがスケッチ平面として選択できます。 スケッチ平面の次は、スケッチコマンドについて解説していきます。 「スケッチを作成」コマンドをクリックし、スケッチ平面を選択します。 すると、ツールバーの表示が変わり、スケッチコマンドが表示されます。 これらのスケッチコマンドを使って、 スケッチ平面にスケッチを描いていきます。 スケッチコマンドには、図形を描くために様々なコマンドがあります。 線を描くコマンドから、円や長方形コマンドなどを組み合わせて、 図形を描いていきます。 また、作成タブの下三角をクリックすると、 ツールバーに表示されている以外のスケッチコマンドが表示されます。 それぞれ、一つの図形を描くのに、 いくつか作図方法が用意されているものもあります。 長方形を描くコマンドにも、3つの方法が用意されていますし、
(06:38) 円を描くコマンドにも、5つの方法があります。 どんな図形を描きたいかによって、適したスケッチコマンドを選択します。 また、修正タブに表示されているスケッチコマンドは、 描いた図形に何かしらの変更を加えるときに使うコマンドです。 また、作成タブの一番右にあるコマンドは、スケッチ寸法コマンドです。 これは、線の長さや、点の位置を数値で定義するためのものです。 寸法をいれて、形状を定義することを寸法拘束といいます。 スケッチコマンドは数が多く、一つ一つ解説は省きますが 動画最後の課題で実際に使ってゆっくり覚えていきましょう。 スケッチコマンドの右側には、拘束タブがあります。 拘束タブには幾何拘束コマンドが表示されています。 幾何拘束とは、図形の要素である、 線や点どうしの関係性を定義するものです。 たとえば、この2本の直線どうしが平行であってほしい場合は 幾何拘束コマンドの中の平行コマンドをクリックして、
(07:43) 2本の線を順にクリックします。 すると、2本の線にそれぞれお互いに平行だという関係性がつけれました。 平行拘束がついている限り、 この2本の直線は動かしても、平行であり続けます。 また、長方形コマンドで描いた長方形には、 もともと幾何拘束がついています。 上下の線には水平拘束、左右の線には垂直拘束が自動でつきます。 拘束のおかげで、長方形の形が崩れずに動かすことができます。 拘束を削除して動かしてみると、長方形の形が崩れます。 幾何公差は形状を保つことや、寸法での拘束の補助をしてくれます。 ちなみに幾何公差を全く使わずに長方形を作ると、 16個もの寸法拘束が必要となります。 それが、幾何公差を使うと、2つにまで減らすことができます。 幾何公差をうまく使うと、スケッチがごちゃごちゃにならず、 すっきりとシンプルな図形が描けます。
(08:47) こういったように、数値での寸法拘束をいれなくても 形状をある程度決められるので、幾何拘束はとても便利なものです。 次は、スケッチの考え方を解説していこうと思います。
(09:58) 一つのスケッチを複数のコマンドの基にすることができます。 実際にやってみると、この円柱形状を作るとしたら、 一枚のスケッチで作ることもできます。 これは、基準平面のYZ平面へスケッチを描き、 一つのスケッチから押し出しコマンドを3回行っています。 それぞれ押し出しコマンドはオフセットの設定をしています。 このスケッチを極力減らして、図形をまとめる考え方があります。 この考え方のメリットは、どこのスケッチにどの形状の図形が描いているか、 スケッチの管理が分かりやすくなるメリットがあります。 また、モデルを修正する時には、 いくつかの形状を変更するのに、一つのスケッチを変更すればよくなります。 ただし、一つのスケッチでエラーが出ると、 形状全体へ影響するデメリットもあります。 また、スケッチの方向を変えることも考えてみましょう。 解説の為に二つのモデルを用意しました。 二つのモデルは全く同じ形状をしていますが、スケッチは全く違います。
(11:05) 左側のモデルは、三つのスケッチを それぞれ3回の押し出しコマンドで作っています。 右側のモデルは、スケッチを描く方向を変えた 一つのスケッチで出来ています。 円柱形状を縦に切ったような一つのスケッチを 回転コマンドで作っています。 このようにスケッチの方向を変えることで、 スケッチの数を減らすことが出来ます。 CADを使ったことがない初心者さんは、まずは、スケッチの数は気にせず、 スケッチを描いてはコマンドの繰り返しでいいです。 最初からスケッチの数まで気にしていたら、 全然モデリングが進まないので、モデリングに慣れてきたら、 タイムラインがスッキリするように、 スケッチの数も気にしていきましょう。 スケッチを描く時に、いくつかの注意する点があります。 スケッチは平面を選択して描きますが、 その時に3つの事に注意して描くようにしましょう。 スケッチの注意点、1つ目は「隙間をつくらない」です。 スケッチで図形を描くときに、線と線が離れていると、
(12:10) 立体を作るコマンドができません。 図形を描くのに夢中で、 いつの間にか線同士が離れていたというのが良くあります。 また、パット見では気付けないほど、 小さな隙間が空いているときもあります。 これを防ぐためには、スケッチを描くときに、右側へ表示される スケッチパレット内の「プロファイルを表示」にチェックを入れると、 隙間のない図形に色が塗られます。 色が塗られない場合は、どこかに隙間が空いているので、 注意深く探してくっつけるようにしましょう。 スケッチの注意点、2つ目は「完全拘束にする」ことです。 寸法拘束や幾何拘束で図形がもう動かない状態を完全拘束と言います。 Fusion360では、スケッチが完全拘束になると、 すべての線が黒く表示されます。 画面の長方形で説明すると、 上と右の線が、まだ完全拘束になっていません。 マウスでドラックしてみると、線が動いてしまいます。 これを完全拘束にするには、寸法拘束や幾何拘束を入れていきます。
(13:16) 寸法拘束を入れてみましょう。 線が水色から黒へ変化しました。 完全拘束されているので、線をドラックしても動きません。 スケッチを完全拘束する理由は、エラーを回避するためです。 意図しない操作でスケッチが崩れると、 エラーを起こして、修正に長い時間を取られます。 スケッチの注意点、最後の3つ目は「寸法拘束の入れ方」です。 スケッチを拘束するのに寸法拘束をよく使います。 寸法は入れ方によって、後で修正したい時に楽になる方法があります。 若干設計の話にもなりますが、まずは、モデリングした物が どこに修正が入りそうなのかを把握します。 例を出すと、画面の部品は、 真ん中の部分の長さが修正されそうですよね。 そのために、左右の穴の寸法は、モデルの端からとっています。 こうやって寸法を入れると、 後から真ん中の部分の長さを伸ばそうとしたときに、 穴の位置も自動でついてきてくれます。
(14:22) では、今後は、穴の寸法を穴同士の寸法に変えます。 変えただけでは形状はなんら変わりません。 しかし、真ん中の部分を伸ばしてみると、 穴の位置は自動ではついてきてくれません。 もう一度、穴の寸法を変更しなければなりません。 手間ですよね? 最初は修正が入る部分はわからないと思いますので、 慣れてきたらそういった事も考えながらスケッチを描いていきましょう。 こういった後でのモデル修正を考えた寸法拘束を入れられるようになると、 CAD中級者になったと言えると思います。 それでは、今回スケッチについて解説してきましたが、 最後に課題を出します。 Fusion360超初心者講座の次の動画、第04回を見るまでに、 これから出題する課題を、Fusion360を 実際に触ってやっておいてください。 この課題で作ったスケッチで、次回の第04回はモデリングをしていきます。 課題はこちら、この2つのスケッチを描いてください。
(15:27) それぞれ詳しく見せます。 1つ目のスケッチは、XY平面をスケッチ平面 として、この寸法で描いてください。 2つ目のスケッチは、XY平面を20mmオフセットした平面を作り、 スケッチ平面とします。 その平面に、この寸法でスケッチを描いてください。 この指示で出来る方は、そのまま作業を進めてください。 自信の無い方は、私が実際に描いていくので、 それを見ながら真似してみてください。 それではスケッチを描いていきます。 以上です。
(19:09) この課題で描いたスケッチは第4回で使うので保存しておいて下さい。 保存する時には、第2回でやったデータ管理を思い出して、 新しいプロジェクトとフォルダを作ってみましょう。 新しく作ったフォルダ内に このスケッチのデータを保存してください。 以上がFusion360超初心者講座 第3回となります。 長い動画になってしまいましたが、 ちゃんとスケッチについて覚えられたでしょうか。 次回の第4回では、モデリングの醍醐味、立体物を作っていきます。 このチャンネルでは、Fusion360超初心者講座だけでなく、 CADや3Dプリンターについての知識なども発信していますので、 良かったら竹の子lab.
(19:54) に入所して一緒に研究していきましょう。 入所の仕方は、右下のアイコンからチャンネル登録ボタンを押してください。 また、ベルマークをオンにすると、 最新動画が投稿されたときに通知が出ますので、 動画を見逃すことがなくて、便利です。 この動画が為になったらグッドボタン、 残念ながら為にならなかったらバットボタンをお願いします。 また、気になることやリクエストなどは、 コメントで書いてもらえると嬉しいです。 それでは、最後までご視聴、ありがとうございました。

 

プロフィール
▲現役機械設計者
元々は航空機開発、自動車部品開発、医療器械開発に携わっていました。
今現在でも、専門分野は異なりますが、機械設計者として働いています。
▲使用CAD
主に使っているCADはSolidWorksです。
他には、CATIA、NX、Fusion360、AutoCADも業務などで触ったことがあります。
▲Twitter
@TAKEnoKO_lab

なかなか設計とかCADとか理解が難しいといわれることが多いので、実際設計はどんな仕事をしているのかを発信していこうと思います。
他にもこのチャンネルでは、技術的な情報や、最新技術のニュースなども発信していこうと思いますので、興味のある方はチャンネル登録と動画視聴をよろしくお願いします。

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