機械設計技術 機械力学編 モータ出力計算

ウィンチの構造を例題としてモータ出力の計算方法を解説します。
トルクと回転数、モータ動力の計算方法を詳しく説明していきます。
モータのトルク測定方法のトルクトランスジューサもご紹介しています。

We will explain how to calculate the motor output using the winch structure as an example.
I will explain in detail how to calculate torque, rotation speed, and motor power.
We also introduce a torque transducer that measures the torque of a motor.

0:00 モータ出力の計算方法
3:52 出力計算公式の解説
5:38 減速しても出力は変わらない
9:01 モータの出力の測定の仕方
11:30 今日のまとめ

・この動画ではCAD操作がわかりやすいように マウスの左クリックは赤丸、右クリックは青丸のアニメーションがでますので参考にしながらご覧ください。
・講師は3D CAD歴26年、機械設計技術者1級を取得しています
・色覚弱者の方にも無理なく見ていただけるように、配色に配慮しております
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【書き起こし】機械設計技術 機械力学編 モータ出力計算 Motor output calculation method

(00:07) こんにちは、中村です。いつもご視聴ありがとうございます。 今日はね、ウインチモーターの出力 計算をしていきたいと思います。 右の図のような荷物をプーリーで巻き上げてね、 持ち上げるモーターの出力計算、これをやっていきたいと思います。 前回はね、仕事と仕事率から、モーターの動力出力計算をしたんですけれども、 今回は、回転するものの回転数とトルクからね、出力の計算をやってみたいと思います。 で、計算はね下の3つですね。回転数、それからトルク、出力、この3つの関係式の公式がありますので、これをご説明していきます。 この3つの数字のね、2つがわかれば、残りの一つは計算できるということになりますね 。 例えば回転数とトルクが測定できれば、モーターの出力は 計算できます。 もしくは回転数がわかってて、モーターの出力がわかっている場合は、 トルクを計算できます。 そういう関係にあるんですね。 この公式のね理屈、理由も説明していきますので、実際にね inventor で動かして見て、アニメーションを見ながらご説明していこうと思います。 今回はね、20キロの荷物を持ち上げるのに、必要なモーター出力はどれくらいかという、計算をしていきたいと思います。
(01:27) それではさっそく、計算していきたいと思います。 プーリーはね、わかりやすく赤色に変更しました。 計算式は、モーター出力 P =60分の2πNT これが計算式になります。 Nが回転数、Tがトルクですね。 これを60分の 2πっていうのを計算すると、0.105という数字になるので 0.1×回転数×トルクで、モーターの出力が計算できると、 おおよそこういうことになります。 で今回は、荷物が20kg でプーリーの半径を20cm、 として計算していきたいと思います。 簡易式である0.1×N×T これを使っていきたいと思います。 回転数 N は1分間あたり何回転するか、rpm ですね。 r /m、トルクはN・mという単位です。 この回転数の rpm っていう意味を、ちょっと解説したいんですけども、 r は revolution ですね。で、p はperです。で m は minute 。 これを日本語に訳すと、revolutionは回転、 perは毎、minuteは分ですね。
(02:43) ですから、毎分何回転かという単位になります。 N・mは、Nは1kgf が9.8Nです。 mは、このプーリーの半径今20cmなので、今回は0.2mということに なりますね。 で、重さが20kg なので、9.8をかけるんですけども、簡易的にね 10で計算します。 ですから、トルクは20kg ×10×0.2ですね。これを計算すると40N・mになります。 で、このプーリーの回転数、これを100回転しましょう。1分間に100回転回ると、いうふうに仮定します。 これを先ほどの公式に当てはめますと、0.1×100×40ですね。これを計算すると 400Wということになります。 ですから20kg の荷物を、回転数100回転でプーリー半径20cmのもので、持ち上げようと思うと、 400Wのモーターが必要だという事がわかります。
(03:52) それではここで、出力計算の p =60分の2π NT。これの解説をしていきたいと思います。 60分の2πN、というのはωというもので表されて、角速度というものになります。 角速度とトルクをかけるとモーター出力が計算されると、こういう式なんですね。 60分の2πっていうのは、60は1分間あたりの回転数を、1秒間あたりに換算しているだけです。 で、2πっていうのは、これラジアンですね。これは円弧の長さで角度を表した方法ですね。 これを弧度法って言うんですけれども、 半径1の、円の弧の長さで表す角度の方法ですね。 一周360度が2πということになります。 回転数×トルク、これの 単位だけをちょっと計算してみますと、次元解析というんですけれども、回転数は rpm ですね。 これを60で割っているので、 rps と1秒間あたりの回転数になります。 トルクがN・mですから掛け合わせると、 N・m 毎秒ということになります。
(05:05) で、この単位は仕事率の単位なんですね。 前回の仕事率からモーター出力を計算する方法、という動画でご紹介していますけれども、モーターの出力っていうのは仕事率です。 ですからね、見事に仕事率の単位と一致していると、いうことになりますね。 ですから、この公式も仕事率の計算ということができます。 仕事と仕事率の計算からの、動力の計算の仕方は、右上にカードが出てきますのでね、そちらをご覧になってください。 はいそれでは次にですね、荷物の重さが20kg から60kg に変更になりましたと、という場合を想定してみたいと思います。 で、トルクが足りないので、20キロから60キロ、3倍の重さを持ち上げなければならないので、減速してトルクを3倍にしたいと思います。 水色のピニョン、それから黄色の大歯車、これで減速比を3対1にします。 3対1にすることで、トルクが3倍になりますので、60キロの荷物が持ち上がるということになりますね。
(06:14) 減速比を3対1にすることで、回転数は3分の1になります。スピードは3分の1になりますけれども、トルクが3倍になります。 で、このような場合の動力を計算してみたいと思います。黄色い歯車、大歯車の回転数は3分の1なので、33.3rpmですね。 水色のピニオンの方が100回転ですから、それの3分の1なので33.3回転ということになります。 プーリーの半径は同じ20cmで、荷物の重さが60kg ですね 。 よって必要なトルクは120N・mということになります。 で、この黄色の大歯車の方の動力を、先ほどの公式に当てはめますと、 0.1×回転数33.333 ×トルク120ですね。そうすると 400Wということになります。 はい、これで何がわかったかと言いますと、減速してもモーターの出力は変わらないということですね。
(07:23) この水色のピニオンの方は100回転で回ってます。 黄色の大歯車の方は33.33回転で回ってます。 回転数は3分の1になりましたけれども、 トルクが3倍になりました。で、出力の計算式は 回転数とトルクのかけ算なので、トレードオフの関係なんですね。 トルクが3倍になっても、回転数が3分の1になるので、かけると1ですよね。これが減速比が5対1であれ、10対1であれ同じなんですね。 10分の 1かける10、5分の1かける5、ということで出力は常に一定ということになります。 ですから、モーターをいくら減速をかけても、出力 動力は変わらないという理屈になります。 ただし少し付け加えておくと、減速をすると機械効率、 機械損が発生しますので、少しね実際の出力は下がります。 おおよその目安として、ギア1打を減速することで約10%の損失が生まれる、というふうに覚えておいていいと思いますね。 これは使っている歯車とか、グリスの粘性とか、あと軸受のね抵抗とか、色々なものが絡み合うので一概には言えないんですけども、
(08:39) 約10%機械損失が あります。 ですから、今回の場合はモーターが400Wですから、 400×0.9で 360Wということですね。 ですから、黄色の歯車の方の出力は実際は360 W 位になります、 ということですね。理屈上は減速しても出力は変わりません。 はい、それでは最後に、モーターの出力を実際にどうやって測定しているのか、ということについて見ていきたいと思います。 えっと実際は、このようなものを使って測定しています。 この青色の真ん中の部分、これがね、 トルクと回転数を測定できる装置、 トルクトランスジューサーというものがあります。 これを使ってね、モーターとつなげてモーターの出力を、 測定するんですね。 これどういうものかというと、オレンジ色の方に負荷をかけてモーターを回すと、この青色のトルクトランスジューサーが、 ねじりを検知して、そのねじり量からトルクを測定します。 で、今まで話ししてきたように、モーターの出力というのは、回転数とトルクがわかれば掛け算で算出できるので、
(09:48) 回転数とトルクを測定して、先ほどの計算式でね、出力が表示されるとこういう理屈なんですね。 これ実際のトルクトランスジューサーのメーカーの実物、これをちょっとね見てみたいと思います。 これがトルクトランスジューサーのメーカーの一つである、ユニパルスさんのトルクトランスジューサーですね。 2つ軸が出てて、片側をモーターにつなぎます。 もう片側を負荷側ですね、何らかの形で摩擦を加えてトルクを加えるようにします。 トルクを加えるとモーターが頑張ってね、回そうとして、このトルクトランスジューサーの軸がねじれます。 このねじれを検知する装置なんですね。ねじれを検知して、そこからトルクを算出するというのが、このトルクトランスジューサーですね。 ここにね動画も紹介してくれてますので、この動画のね、リンクも 貼っておきますので、後でご覧になってみてください。 で、このようにね、アンプと繋がってて、この表示器ですね、 表示器にトルクと回転数それから動力ですね、 これが表示されるようになってます。このトルクと回転数をかけ算したものがね、
(10:59) ぴったり動力に一致していると、いうことになると思いますね。 こういうものを使ってモーターメーカーはモーターの動力、 回転数を、測定しているということですね。一般のモーターのカタログにはね、定格回転数とか定格トルクと、 いうのがうたわれてると、思いますけどもね、定格回転数ではなくて各回転数ね、それぞれ出るトルクとか、必要な電流値とかね、 違ってきますのでね、そのあたりを細かくね測定できる装置、ということになると思います。 それでは今日のまとめですね。モーターの出力計算式は P =60分の2πNT ですね。 Pというのはモーターの出力ワットです。で Nは回転数 rpm ですね。 1分間あたりの回転数、 トルクはN・mです。で、ザクッと計算するときは 60分の2πが約0.1ですので、0.
(12:02) 1×回転数×トルクという計算すればね、 サッと頭の中で出力が計算できると、こういうことになりますね。 で、回転数とトルクはトレードオフの関係にありますね。 先ほど観ていただいたように、減速して回転数が3分の1になると、 トルクが3倍になるので、結果同じなんですね。 この上の式を見ていただくと、回転数とトルクのかけ算なので、いくら減速しても結果は一緒 ということになります。 ですから、減速しても動力は落ちません。 ただし減速機の機械損失ですね、摩擦による機械損失や軸受けのね 抵抗なんかによって損失分は下がります。これからの設計にお役立ていただければと思い ます。 はい、今日はウィンチのモーター出力の計算、ということでお話ししていきました 。 はい、それでは今日の動画は以上となります。今日もご視聴ありがとうございました。 また次の動画でお会いしましょう 。

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