材料力学用語辞典:ボルト締結部の疲労
00:00 復習:疲労強度、ボルト締結部
03:44 ボルトの軸力
04:31 ボルト締結部の疲労寿命
06:34 注意点①
07:20 注意点②
07:55 まとめ
【書き起こし】(2) ボルト締結部の疲労ってなに?これがボルト締結の特徴です!材料力学の専門用語を分かりやすく説明【材料力学用語辞典】
(00:01) こんにちは 材料力学用語辞典では 材料力学で出てくる専門用語を分かり やすく説明していきます今日の用語は ボルト締結部の疲労ですまず復習ですこの 動画で疲労強度を紹介しこの動画でボルト 締結部を紹介しましたまず 疲労強度の復習です 材料に性的強度より小さい負荷をかけても 破壊はしませんですが 負荷をかける回数を増やしていくと 性的強度より低い応力であっても破断に 至りますこの性的強度より小さい繰り返し の負荷で破断する強度を 疲労強度と言います 応力振幅と破断する回数の関係を整理した グラフをストレスとナンバーの関係である ことからSN曲線と言います両対数グラフ に 応力振幅と破談までの回数の試験結果を プロットすると右下がりの直線になり 応力が一定以下になると破断しなくなり
(01:04) ますこれは10の7乗回以上で起こる現象 でこの応力を拾う限度と言います 次にボルト締結の復習ですボルト 締結とはボルトとナットで複数の非締結帯 を固定する方法ですボルトを締め付けると ボルトは引っ張られてボルトに引っ張り力 が作用しますこの力をボルトの軸力と言い ます 軸力の適正な大きさはボルトの寸法や材料 などによって決まっていますボルトに軸力 が作用するとその引っ張り力と釣り合う ように 非締結体には圧縮力が作用しますこのよう にボルトに引っ張り力 非低血体に圧縮力が作用する状態で使わ れることがボルト締結の大きな特徴です 締め付けたボルト締結部の力の状態を表す 図として 締め付け線があります 縦軸に荷重横軸に変形量のグラフを考えて ボルトの荷重変位関係を書くとこのように なります最大の荷重が締め付けた時の
(02:11) ボルトの軸力ですこの図に 非締結帯の荷重変位関係を重ねます 荷重の符号や変形量の0点をずらして2本 の線が荷重Fで重なるように書きますこの 図がボルト締結部の締め付け線図です この締め付け線図を活用すると 締結部の力の状態がわかりますボルトを 締め付けるとボルトに軸力が作用して 非締結体には圧縮力が作用しますこの締結 部に引っ張り力が作用するときボルト締結 部全体が伸びます 伸び量は図のこの部分になりますこの時 ボルトの荷重変位関係はここまで伸びて 非低血体の荷重変位関係はここに移動し ますつまりボルトの軸力は大きくなり 非低血体の圧縮力は小さくなります外力W をボルトと非締結帯で受けるのでこの長さ がWになります WをW1とW2に分けるとW1がボルトが
(03:17) 受け持つ力でW2が非締結体が受け持つ力 ですつまりボルト締結部全体に外力が作用 するとき外力の一部は非低血体が受け持っ てくれるのでボルトが全部受け持たなくて も良いですこのようにボルト締結部は ボルトと非締結帯が協力して力を受け持つ という力学的に優れた構造であることが わかりますここまでが復習です 改めて 締め付け線図を使ってボルトの軸力を見 ましょう 外力Wが作用するときの締め付け線図は このようになりました先ほどの復習では 外力Wが作用するときにボルトはその一 部分のW1だけ受け持てばよいと説明し ましたですがよく考えると 締め付けた時点でボルトにはFの軸力が 作用しているのでボルトの軸力はW1では なくF+W1になりますねもし外力を ボルトだけで受けるとボルトの軸力はW ですそのためボルト締結にしても軸力は
(04:24) 小さくなりません ということはボルト締結は力学的に優れて いるわけではないのでしょうか 実はボルト締結の力学的な特徴が活かせる のは 繰り返し荷重による疲労に対してです ボルトを用いる多くの場合 課題になるのは1回の大きな荷重による 破壊ではなく長期間使っている間にボルト が疲労破壊することですそこで今回は ボルト締結部の疲労について考えましょう ボルト 締結部に作用する引っ張り荷重Wがこの ように繰り返し作用する時を考えましょう 締め付け線図では 荷重Wはこの部分なのでこの荷重が 繰り返し作用しますこのうちボルトが 受け持つ荷重はW1です したがってボルト単体とボルト締結部を 比べてどちらにも同じ 繰り返しか10Wが作用するときボルト 単体の軸力はWの幅で変化するのに対して ボルト
(05:28) 締結部のボルトの軸力はW1の幅で変化し ますそのためボルト締結部のボルトに 生じる応力振幅はボルト単体のW分のW1 と小さくなりますね 応力振幅が小さくなると 疲労寿命がどう変わるかをSN曲線を使っ て考えましょうボルト単体の応力振幅が ここの時 疲労寿命はここですそれに対してボルト 締結部の応力シンプルは小さいので 疲労寿命はここになりますSN曲線は両 対数グラフなので 応力シンプルが何割か減ると 疲労寿命は桁が変わるほど長くなることが ありますこのことからボルト締結部の ボルトは疲労寿命が大幅に長くなることが わかりますね さらにボルト締結部の応力振幅をもう少し 小さくすることができれば 疲労現度以下になって 理論上疲労破壊を気にしなくてもよくなり ますこのようにボルト締結は疲労に対して 優れた構造であることがわかりますね
(06:35) ボルト締結部の疲労に関する注意点です 外力が作用するボルト 締結部のボルトが緩んだらどうなる でしょうか SN曲線を使って考えましょうボルト単体 の応力振幅がここで 締結部のボルトの応力振幅がここの時 ボルトが緩むと 非低血体が受け持つ荷重が減るので力の 状態はボルト単体に近づきますつまり 応力振幅は大きくなりますその結果 疲労寿命は短くなってしまいますボルトが 緩むと疲労寿命が大幅に低下するので 緩み止め施策や定期的な検査などを行って 緩みのない状態で使うことが重要ですね 2つ目の注意点です外力Wによってボルト の軸力はW1変化しますが 締め付けた時に軸力Fが作用しています したがってボルトに作用する最小荷重はF 最大荷重はF+Wはで 平均荷重はFプラスに分のW1になります
(07:43) 平均荷重はSN曲線に影響することがある ので 疲労寿命を評価するときには注意が必要 ですこれらの注意点に気をつけてボルト 締結を有効に活用してください まとめですボルト締結部のボルトには 締め付け時の荷重に加えて外力の一部が 作用するためボルト単体に外力が作用する 状態よりも軸力は小さくなりません 繰り返しの概力が作用するときボルト締結 部のボルトに作用する 荷重振幅はボルト単体よりも小さくなり ますその結果 疲労寿命は大幅に長くなります 締結が緩むと力の状態はボルト単体に 近づき 疲労寿命が大幅に短くなるので注意が必要 です 今回のご視聴ありがとうございましたこの チャンネルでは 材料力学をわかりやすく紹介したり 材料力学を生活に役立てたりしています ぜひそれらの動画もご覧ください チャンネル登録と高評価もお願いします
(08:48) それでは次回の動画でお会いしましょう
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疲労強度
ボルト締結部の締付け線図
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