【現役設計者が語る】金属の面白い性質【材料学】

ご安全に!現役機械設計者の竹の子と申します。

今回は「材料学 金属編」をテーマにお話しさせていただきました。
身の回りに沢山ある金属について、現役設計者がゆる~くお話しします。

動画の目次—————————————
・あいさつ  0:00

・金属の性質 00:35
・金属の歴史 05:18
・面白い性質の金属 07:36

・まとめ 11:26

 

【書き起こし】(2) 【現役設計者が語る】金属の面白い性質【材料学】

(00:00) ご安全に!現役機械設計者の竹の子です 前回の材料学では 樹脂についてお話ししましたが 今回の材料学は樹脂以上に 身の回りにある 金属について研究しようと思います 材料学といってもそんなに難しくなく 身の回りにあるものの 材料について 軽く掘り下げて理解していこうと言う ゆる~いコンセプトでやっていきます 動画後半では 面白い性質を持った金属を 紹介していますので ぜひ最後までご視聴ください それでは行きましょう 金属の性質と言われて 思い描くものはどんなものですか? ピカピカ光っている 硬い、電気を通す などを想像するんではないでしょうか それで正解です! 金属の性質は、金属特有の光沢や 高い強度などが特徴です 金属に共通する特徴としては 金属特有の光沢や高い強度の他には 展延性、導電性、熱伝導性、融解性などがあります
(01:10) それぞれ軽く解説行きます まず金属特有の光沢は 金属光沢と呼ばれています 身の回りにある金属は ほとんどがきれいに磨かれていたり 沢山の線が入った 梨地になってると思いますので 見た目的にも わかりやすいんではないでしょうか シルバーアクセサリーなど 金属が装飾品としてよく使われているのは この性質のためです ちなみにシルバーアクセサリーに使われている 銀は光の反射率が98% 一般的な鏡が反射率90%ほどなので よく磨けば鏡よりも綺麗に反射します 次に、高い強度を持っていることです 高層ビルの柱の中には 補強として 金属の鉄筋が入ってたりしますよね 金属はその強度の高さが材料として 使われる理由です 強度と一言で言いましたが 金属の強さというのは 様々な意味を含んでいます
(02:15) 変形しにくさや傷つきにくさ 粘り強さや耐熱性、耐腐食性などで 一言に強度と言っても これだけの意味が含まれています そして金属同士を比べてみると それぞれの金属によって 得意な強さが違います 熱処理などで、粘り強さや 変形しにくさを調整した鋼は びょんびょんと弾むバネに使われていますし 耐熱性の高いタングステンは ロケットのジェットエンジンに使われています 次の展延性は叩いたり引っ張ったりした時に 凹んだり伸びたりする性質のことです 展延性は展性と 延性の二つの性質を合わせた言葉です 展性は叩いた時に 潰れたりへこんだりする性質のことです 延性は引っ張った時に伸びる性質のことです この二つを合わせて展延性と呼んでいます
(03:22) 刀の職人さんが真っ赤に光る鋼を カーンカーンと金槌で叩いて 形を変えているのを見たことがあると思います あれは展延性を利用した鍛造加工です 導電性や熱伝導性は 電気や熱を伝える性質を言います 金属は他の物に比べ 電気や熱を伝えやすい性質を持っています 電線などでよく使われている 銅やアルミニウムは金属の中でも よく電気を通す性質を持っています ちなみに導線に銅が使われているのは有名ですが 最近はアルミニウム製の導線が増えているそうです その理由に銅よりアルミニウムの方が 安く作れ、軽いので コストダウンと作業性の良さで どんどんどんどん変わっているそうです またアルミニウムは フライパンによく使われるように 熱もよく伝えます
(04:26) 融解性は金属に熱を加えるとドロドロに溶け 冷えるとまた固くなる性質のことを言います 樹脂編の時に 似たような性質が出てきましたね 樹脂では同じ性質を 熱可塑性と呼んでいました 金属分野では同じ性質でも 熱可塑性と呼ばず、融解性と呼んでいます しかし金属でも熱可塑性と呼んでも 間違いではないので、どちらでも構いません ややこしいので是非統一していただきたいものです ここでは金属の特徴は 光沢、強度、展延性 導電性、熱伝導性 融解性の6つがあることを覚えてもらえたら ばっちりです 金属の歴史は人類の戦争の歴史でもあります 7,500年前の紀元前5,500年のペルシャで 銅製の装飾品が確認されたところから
(05:32) 5,600年前の紀元前3,600年のシュメールで 青銅製の武器や生活用品が見つかっています 3,700年前の紀元前1,700年のメソポタミアでは 鉄製の短剣が見つかっています メソポタミアは鉄製武器を持って 周辺国家を征服して行ったそうです 3,400年前の紀元前1,400年のヒッタイトでは 鋼製の武器でメソポタミアを征服したとされています 国家間の戦争のために より強度のある金属を開発していきます また18世紀の産業革命以降 アルミニウムやチタンなどが 発見、開発され産業を支えてきました 現在ではお金から建物まで 様々な所に金属が使われています また紀元前4世紀から17世紀の 2,000年間の間研究されていた
(06:39) 錬金術という学問で 金属の化学的な変化が記録されています 当時の錬金術は下から 鉄→銅→鉛→水銀→銀→金の順に 金属が成長すると考えられていたそうです あらゆる薬品や方法で どんどんと金属をレベルアップしていけば 最終的に金が大量に生産できると考えたそうです その過程で金属の腐食や 合金などの多くの特性がわかったそうです このいかにも怪しい錬金術が 今の金属の技術を押し上げたことは 間違いないと思います ここでは金属の歴史は 戦いと錬金術で作られてきた ということを覚えてもらえたらOKです 最初に紹介する面白い性質を持った 金属は水銀です
(07:43) 水銀は昔のガラス製の体温計に入っていた金属です 次は金属の仲間の中で唯一 常温で液体の状態の金属です 水銀が体温計に使われてた理由は 温度変化の膨張のグラフがほぼ直線になるため 正確に体温が測れるようです しかし水銀には毒性があり 人の体に中毒症状を起こします 熊本県水俣市で引き起こされた 水俣病の原因となった金属でもあります 水銀を扱う場合は 環境省が定める 水銀廃棄ガイドラインに沿って 保管、廃棄する必要があります 恐ろしい金属でもありますが 唯一の液体の金属という性質は面白いものです 次に紹介する金属はガリウムです
(08:48) ガリウムは水と同じように 液体の状態よりも 固体の状態の方が体積が大きくなる 異常液体物質です このガリウムが面白いのは 固体から液体に変化する融点がにじゅー 29.8度なので ガリウムを手のひらに乗せると バターのように人の体温で溶ける性質です 水銀と違って毒性がほとんどないので 手のひらで溶かして遊ぶことが出来ます またアルミニウムや銀を 強烈に脆くさせる性質も持っています 金属バットを手でボロボロにできるぐらい 脆くさせます 溶かして遊ぶのも、金属バットを壊すのも ちょっとやってみたいですね ガリウムはamazonや楽天でも 販売されていますので 機会があったら試してみようと思います 最後に紹介する金属はチタンです
(09:55) チタンは強度はアルミの3倍溶ける融点は 溶ける融点はアルミの2.5倍職人とても強いのに 腐食にとても強いのに、とても軽いです 同じ体積の鉄と比べると 2/3の重さしかないです しかも人間の体にやさしい金属です 金属アレルギーが起こりにくく 毒性もないので 医療用の道具や 体内に入れる人工関節に使われたりしています チタンはとてもとても優秀な金属です そんなチタンの面白い性質は 熱伝導率がとても低いんです 熱を通しづらい性質を持っているということです これの何が面白いかというと チタンに触っても冷たく感じません イメージとして金属って 触るとヒエッと冷たいと思うんですが チタンは触ってみるとほんのり冷たいかな? という程度しか冷たくないんです
(11:01) これは熱伝導率が低いので 手の熱がチタンへ移りにくいのが理由です 他の金属では熱伝導率が高いので 手の熱が金属に奪われ、とても冷たく感じます 私は実際に触ってみて 金属のイメージとのギャップに 頭が混乱しました 皆さんもぜひ機会があったら触ってみてください 今回の「材料学 金属編」はここまでとします すぐ身の回りにある金属へ 興味を持ってもらえたら嬉しいです 大変長い動画となりましたが 最後までご視聴ありがとうございます このチャンネルでは材料学だけでなく 3Dプリンターやすりー 3D CAD講座なども発信していますので 良かったら「竹の子Lab.」に入所して 一緒に研究してきましょう 入所の仕方は右下のアイコンから チャンネル登録ボタンを押して下さい この動画が為になったらグッドボタン
(12:08) 残念ながらた為にならなかったら バッドボタンをお願いします また気になることやリクエストなどは コメントで書いてもらえると嬉しいです それではご視聴ありがとうございました

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投稿者のプロフィール
▲現役機械設計者
元々は航空機開発、自動車部品開発、医療器械開発に携わっていました。
今現在でも、専門分野は異なりますが、機械設計者として働いています。
▲使用CAD
主に使っているCADはSolidWorksです。
他には、CATIA、NX、Fusion360、AutoCADも業務などで触ったことがあります。

なかなか設計とかCADとか理解が難しいといわれることが多いので、実際設計はどんな仕事をしているのかを発信していこうと思います。
他にもこのチャンネルでは、技術的な情報や、最新技術のニュースなども発信していこうと思いますので、興味のある方はチャンネル登録と動画視聴をよろしくお願いします。

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