機械設計技術 ベアリングの寿命計算(軸受けの耐久時間計算)の基礎【前編】

ベアリングの寿命計算のやり方を詳しく解説しています。
この動画は【前編】です。【後編】は2023/3/末公開予定

 

【書き起こし】機械設計技術 ベアリングの寿命計算の基礎【前編】

(00:15) こんにちは中村です。 いつもご視聴ありがとうございます。 このチャンネルでは、Inventor3DCADの使い方や 機械設計について、お話ししています。 今日はベアリングの寿命計算の基礎について、 お話ししていきます。 今日お話しする内容は、次の3つです。 1つ目、寿命計算とは 2つ目、寿命計算のやり方 3つ目、軸受け梁の計算 今日はこの3つについて、詳しく 解説していきたいと思います。 はいそれでは、ベアリングの寿命について 解説していきたいと思います。 このような軸受構造があって、ベアリング2個で 軸が支えられています。 そして軸の先端に プーリーがついていて、
(01:22) 軸をモーターで駆動している、 という構造です。 このような構造を作った時に、 ベアリングには 必ず何らかの荷重がかかって、回転している ことになります。 この構造の場合だと、先端にプーリーが 付いていますので ベルトで引っ張られて、ベアリングにその 引っ張り力が発生させる、ラジアル荷重がかかります。 ラジアル荷重というのは、軸に 直角方向の荷重ですね。 このように、ベアリングに力がかかった状態で、 ベアリングを回していくと いつか寿命がきて、ベアリングが 焼き付いて、動かなくなります。 これを理論的に計算する方法を、 今から解説していきたいと思います。 はいそれでは、具体的な寿命計算のやり方を 解説していきたいと思います。 題材として、 このような構造を用意しました。 軸がベアリング2個で、支えられていて ちょうど真ん中に、プーリーが付いています。
(02:29) このプーリーで荷物を 持ち上げる装置だと考えて下さい。 その荷物の荷重が ベアリング2個で支えられているので、 荷物の重さの半分が、ベアリング一つに かかるという風に考えます。 この具体的な 荷物の重さを設定して、 それをもとに、寿命計算を 解説していきたいと思います。 はい、斜め上から見ると、このような構造です ね。 それでは、寿命計算のやり方を、詳しく 解説していきます。 はいそれでは、具体的にベアリングの寿命 計算を、やっていきたいと思います。 ベアリング 玉軸受けの寿命計算式は、 L=(C/P)^3×10^6回転です。 Lは定格寿命ですね、 Cが基本動定格荷重です。 Pは軸受け荷重です。 定格寿命は、回転で表されます。 例えば1億回転とか2億回転とか、いう数字が出てき ます。そしてCは基本動定格荷重ですが、
(03:43) これはベアリングメーカーのカタログに、必ず 載っている数値です。 そしてPは、ベアリングにかかる荷重ですね。 ですから、Pの軸受けにかかる荷重がわかれば、 あとはこの計算式に代入すれば、 自然と寿命の計算ができるということになります。 それでは早速、条件を設定して 計算していきたいと思います。 はいそれでは、早速計算していきたいと思い ます。 ベアリングの寿命は、右の式のようにCとPが分かれば、 寿命計算ができます。 Cは動定格荷重です。これは、ベアリングのカタログに 載っている数値ですね。 ベアリングの型式を、6004としようと 思います。 6004の基本動定格荷重を調べます。 はいこちらが、6004の仕様諸元表です。 ここの基本動定格荷重の数値は、9400Nになって います。これがCの値ですね。
(04:56) これを計算で使っ ていきます。 はい、Cの基本動定格荷重が分かったので あとはP、軸受け荷重を設定するだけです。 このプーリーにかかる力、荷物の重さを2000N としようと思います。 約200kgですね。そうするとプーリーは ベアリングのちょうど真ん中に 位置しているので、一つのベアリングに かかる荷重は、半分の1000Nということになります。 ですからPは、1000Nですね。 これを公式に当てはめて計算していきます。 それでは公式に、数値を代入して 計算していきたいと思います。 L=(9400/1000)^3×10^6です。 これを計算すると 830×10^6となります。 8.3億回転ということになります。 ですから、この軸受けは8.3億回転の期待寿命が あるということになります。
(06:08) それでは具体的に、さらに条件を設定して、 寿命時間を出していきたいと思います。 例えばモーターの回転数を、3000r.p.m.とします。 これは1分間に3000回転ですので、 1時間あたり18万回転します。ですので 寿命時間は、 8.3億回転÷18万回転で これを計算すると、 4611時間ということになります。 ですから、この6004のベアリングに ラジアル荷重1000Nが、かかった状態で 毎分3000回転の、モーターで回し続けると 4611時間の期待寿命がある という結果になりました。 それでこれは、完全に全ての軸受け、4611時間保証します よ、ということではなくて、 同じ条件で、100個のベアリングを回した時に、 90個は壊れないということになります。 逆に言うと、10個は壊れるということですね。
(07:16) これがベアリングの寿命計算式の考え方です。 はいそれでは、ベアリングの寿命計算の基礎 が理解できたところで、 次は、より現実に近い構造で 計算をしていきたいと思います。 これは プーリーの増速機構ですね。 シャフトの先端に、プーリーが付いていて 丸ベルトで増速しています。 そしてベアリングケースで、 軸が支えられていて、モーターがつながっています。 モーターがトルクを加えることで、 プーリーが回って ベルトを駆動すると、そういう機構ですね。 ちょっと断面にしてみようと思います。 はい内部構造は、このような形でベアリング 2個で、シャフトが支えられています。 先ほどのベアリングの構造は同じですけども、何が 違うかっていうと、 ベアリングの外側に、プーリーが付いていて、 そこに力がかかるということですね。 横から見てみたいと思います。
(08:23) はいこのような構造ですね。ベアリング2個 で支えられていて、 シャフトの右側に、モーターが付いていて、 左側にプーリーが付いています。 プーリーのベルトの張力で、このシャフトに ラジアル荷重がかかります。 そのラジアル荷重によって、このベアリング2個に、 それぞれにラジアル荷重がかかるわけですけども、 ここのベアリングの前側と、後ろ側に かかる荷重は、違ってきます。 これを計算しなければなりません。 これはどんな計算をするかというと、静定梁 の計算をします。 これは構造力学の範囲になりますけども、 このシャフトを梁と見立てて、 ベアリングに発生する 反力を計算します。 その反力を計算できないと、先ほどの寿命計算は できない、ということですね。 はい今回は、モーターのトルクを設定して、 モーターのトルクによって、 ここのベルトに、張力がかかります。 このベルトの張力が、そのままシャフトにかかる ラジアル荷重になります。そしてその
(09:33) ラジアル荷重から、ベアリングの前側、後ろ側、 それぞれにかかる反力を計算して、 それをもとにベアリングの 寿命を、計算していきたいと思います。 はいそれでは、静定梁の 計算を進めていきたいと思います。 計算をする前に、 条件を設定します。 まずこの駆動モーターのトルク、 これをTとして、20N・mとします。 そしてこのプーリーの外径、 ベルトの中心ですね。 これをDとして 100mmとします。 そうすると、このベルトにかかる 張力Fは、 T ÷D/2ですね。 ですから、20N・m÷ 0.05mで 400Nということになります。 これがプーリー部分にかかる、シャフトの ラジアル荷重ということになります。 はいそれでは、この構造を 模式化していきたいと思います。
(10:41) はい摸式化すると、このような梁に なるんですね。 1番左の、100mmオーバーハングした ところに、 先ほど算出した、ラジアル荷重F=400Nが かかります。 そしてその隣の三角のところが、 左側のベアリング。 300mmいったところが、 右側のベアリングです。 そして、このそれぞれのベアリングのところに、 ラジアル荷重Fによる 反力Raと 反力Rbが発生します。 これを静定梁の式を用いて、 算出していきたいと思います。 そしてこのRa、 Rbの大きい方の値を使って、 寿命計算をしていくと、 いう段取りになります。 それでは早速、梁の計算をしていきたいと思います。

機械設計において、部品の寿命計算や耐久時間の見積りは非常に重要な要素です。以下は、部品の寿命計算や耐久時間の見積りに関する基本的な考え方や手順の概要です。

  1. 負荷解析の実施 まず、寿命計算や耐久時間の見積りに必要な負荷解析を行います。この負荷解析には、部品にかかる応力やひずみ、変形量などが含まれます。負荷解析には、有限要素法(FEA)を用いることが一般的です。
  2. 応力集中部位の特定 負荷解析の結果から、部品の中で特に応力が集中している部位を特定します。これらの部位が、部品の寿命に重要な役割を果たします。
  3. 応力集中部位の疲労寿命の見積り 応力集中部位の疲労寿命を見積もります。疲労寿命は、部品に繰り返し負荷がかかる場合において、その部位が破壊するまでの時間や回数を表します。
  4. 材料の強度特性の評価 部品に用いられる材料の強度特性を評価します。これには、材料の引張強度や疲労強度、静的強度、粘弾性特性などが含まれます。
  5. 疲労寿命と強度特性の比較 疲労寿命と強度特性を比較し、どちらが小さいかを判断します。疲労寿命が小さい場合は、部品が疲労破壊を起こす可能性が高いため、改善策を考える必要があります。
  6. 耐久時間の見積り 部品の耐久時間を見積もります。耐久時間は、部品が正常に動作し続けることができる時間や回数を表します。これには、部品の疲労寿命や材料の強度特性、部品の設計、使用環境などが含まれます。
  7. 耐久性の改善 部品の耐久性を改善するためには、材料の変更や部品の形状の改良、設計の見直しなどが必要になる場合があります。

・この動画は現役の機械設計エンジニアが作成しています
・講師は3D CAD歴26年、機械設計技術者1級を取得しています
・色覚弱者の方にも無理なく見ていただけるように、配色に配慮しております
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