機械設計技術 ベアリングの仕組みと構造 ベアリングの基本構造と予圧の目的 定圧予圧と定位置予圧

ベアリングの仕組みと構造、予圧の目的、内部すきま、定位置予圧と定圧予圧の理屈を詳しく解説しています。

 

【書き起こし】機械設計技術 ベアリング予圧の目的 定圧予圧と定位置予圧 ベアリングの仕組みと構造

(00:15) こんにちは、中村です。 いつもご視聴ありがとうございます。 このチャンネルでは inventor 3d cad の使い方や機械設計についてお話ししています。 今日は、ベアリングの予圧についてお話ししていきます。 今日お話しする内容は次の3つですね。 1つ目予圧とは。2つ目ベアリングの内部すきまの目的。 3つ目定位置予圧と定圧予圧。 それでは今日も、 inventor のアニメーションを使って詳しく解説していきたいと思います。 それではまず、ベアリングの構造について解説していきたいと思います。 ベアリングは外輪、内輪、ボール、保持器、この4つから成り立っています。 ベアリングの構造の、一番肝となる中心的な役割が、このボールですね。 ボールが回転することで、転がり摩擦で、抵抗を少なくして回転することができます。 はい、このようにボールが自転と公転を繰り返して、回転していきます。そのボールを、内側から支えるのがこの内輪ですね。 続いては保持器ですね。保持器がボールを等間隔に保つ役割を担っています。
(01:34) このように、サンドイッチするように両側から、 保持器がボールをサポートして、等間隔に配列しています。 保持器の役割によって、ボールが等間隔に 均等に、安定して回転することができます。 はい、最後は外輪ですね。 外輪が外側から、ボールを包み込むように配置されています。 これがベアリングの大まかな構造です。 はいそれでは、外輪とボールの接触部分を 拡大して、見てみようと思います。 はい、このような形で、ボールが回っていくわけですけども、 はい、ゆっくり回しますと、この外輪とボールの間に 隙間があるのが分かると思います。 保持器を非表示にして、回転させてみると わずかに隙間があるんですね。 これを内部すきま、と言います。 通常数 μ から数十μ の隙間があります。 では何故、この隙間が設けられているかと言うと、ぴったり作ってしまうと軸受けというのは、
(02:47) 熱を持っていきますので、内輪が膨張した時に、ボールが締め付けられて、異常な発熱を起こしたりします。 ベアリングというのは、常に熱との戦いですので、熱が 加わった時にある程度隙間がないと、 競り合って熱の発生の源になってしまいます。 最終的には、それで焼き付いてしまいますので、このようにある程度 隙間を持っていると、そういう意図があるんですね。 はい、それでは内部すきまがあることによる、 デメリットを解説していきます。 内輪とボール、外輪とボールに隙間があるということは、 このようにガタがあって、動いてしまうんですね。 このようにボールと内輪、ボールと外輪に、 隙間があるので、お互いにある程度遊びがあって、 融通が利いてしまいます。 この隙間によって、滑らかに回ることができるんです けども、高速回転させたときに振動の原因となります。 このように、高速回転させた時に内部すきまがあることによって、 ボールがある程度暴れてしまうんですね。 これが振動の原因となります。
(03:53) この振動の原因を取り除くために、必要 なのが予圧というものです。 それでは予圧とは何か、というのを詳しく解説していきたいと思います。 それでは予圧の目的について、詳しく解説し ていきたいと思います。 ベアリングの ボールと、内輪外輪の間に隙間があるという お話をしました。 隙間があるとこのように、内輪が偏芯して、動く隙間があるんですね。 これが振動の原因になります。 この内部すきま、いわゆる遊びをなくすために、 予圧という手段が使われます。 予圧には2 つの方法があって、一つ目は定圧予圧です。 2つ目は定位置予圧です。 もう少し平たくいうと、ある程度の力で押し付けてこの遊びを なくすということですね。 定圧予圧は、ばねで押し付けて遊びを殺します。 定位置予圧は、精度良く軸受構造を作って、ある程度押し付けた状態を作り出す、というふうに言い換えることができます。 それでは予圧のかかった状態を、 アニメーションで表現していきたいと思います。
(05:03) 軸方向に力を加えて、内部すきまがないように押さえつける、これが予圧ですね。 この状態になったことで、軸方向に力がかかったまま回転することができて、隙間がない状態を作り出すことができます。 この状態が、予圧がかかった状態です。 予圧の目的は、ラジアル方向や軸方向の位置決め精度を向上させることです。 軸の振れを抑えて、回転精度を上げることが目的です。 それから軸受の剛性を高めて、歯車の噛み合い精度を向上させる、転動体の旋回滑りや、公転滑りを防止する。 振動や共振による異音の発生を防止する。このような内容が予圧を与える目的です。 それでは予圧方法の一つ目、定圧予圧について解説していきます。 内輪、または外輪をばねの力で押さえつけることで、内部の隙間をゼロにして運転する、これが定圧予圧です。 ばねは、通常コイルばねや皿ばねが用いられます。荷重が小さな場合は、波ばねが使われると思います。
(06:17) 定圧予圧のメリットは、ハウジング、外輪側と、軸側、内輪側の温度差が生じた時に、 例えば軸側が、熱を持って膨張した時ですね、 このような時にも柔軟に対応できるのが、ばね予圧のメリットです。 軸が膨張して、 内輪側が軸方向に移動したとしても、 ばねなので、ある程度位置を許容してくれるんですね。 そして安定した予圧力を保持できる。 これが定圧予圧の最大のメリットです。では逆に デメリットは何かというと、 ばねなので、ばねの力に打ち勝つ力が、軸受に加わった 場合、軸の位置が動いてしまうということですね。 このばね力に、打ち勝つような外力が、軸に加わった時に、 ばねですから、押し戻されて動いてしまうんですね。 この動きの量を、許容できないような機械の場合は、使えないということになります。 それでは次は、定位置予圧について解説していきます。定位置予圧は 簡単に言うと、寸法精度良く軸受部材を作るということですね。 定圧予圧は、ばねで軸方向に力を加え ましたけども、定位置予圧はベアリングの
(07:37) 内部すきま分の、数μから数十μ レベルの、軸方向の寸法精度を高めて部材を作ります。 そうすることで、軸方向の位置を コントロールして、予圧をかけることができます。 定位置予圧のメリットは、軸方向の 変化量が少ない、ということですね。 定圧予圧は、バネの力で押し付けているので、軸方向 に力が加わると動いてしまいますけれども、 定位置予圧の場合はそれがありません。 したがって、高い剛性を必要とする用途には、定位置予圧が適しているということが言えます。 例えば工作機械の主軸ですね、工作機械は数μも動いてしまうと、加工物の精度が狂ってしまいますので、 それは許されないですよね。そういった用途にはこの定位置予圧が向いていると言えると思います。 逆に、この定位置予圧のデメリットは、 加工コストが高くついてしまうんですね。 先ほど申し上げたように、数μ レベルの寸法精度で、部品を作らないといけません。 それから、組み立てた後の寸法精度や、 起動トルクの測定、
(08:46) そのあたりも必要になってきますので、 そのあたりを考慮して、定位置予圧を採用するか、 定圧予圧を採用するか、これをよく検討して選択する必要があります。 したがって、高速回転や軸方向の振動防止を したい場合は、定圧予圧、 高い剛性を必要とする用途には、定位置予圧が向いていると 言えます。 それでは、今日の動画は以上となります。 今日もご視聴ありがとうございました。 また次の動画でお会いしましょう。

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・この動画は現役の機械設計エンジニアが作成しています
・講師は3D CAD歴26年、機械設計技術者1級を取得しています
・色覚弱者の方にも無理なく見ていただけるように、配色に配慮しております
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