★CVTが分かる!CVT天国の日本になった理由[TOYOTA][SUBARU][NISSAN][HONDA]

エンジンに欠かせない変速機ですが、MT,AT,CVT,DCTといくつかの種類があり、日本ではCVTが多くの割合を占めています。
CVTの構造とメリット・デメリット、国や地域による違いが生じた原因をまとめてみました。

 

【書き起こし】★CVTが分かる!CVT天国の日本になった理由[TOYOTA][SUBARU][NISSAN][HONDA]

(00:13) はい皆さん なんがでっきょりますか 今回は変速機のCVTについてです 日本の国内市場ではNo.1のポジションであるCVTですが 海外では少数派にとどまっています なぜこのような状況となっているのか そしてCVTの仕組みやメリット・デメリットについて見ていきます CVTは Continuously Variable Transmissionの略で 日本語では無段変速機または連続可変トランスミッションと言います 内燃機関を動力に使う車にとって変速機はなくてはならない存在です この変速機の大切な役割の1つが エンジンの運転状態をできるだけ高い効率を発揮する領域におき続ける ということです
(01:18) 理想としては車の速度や負荷の状態に応じて 常に最適な変速比を得ることです この理想を現実のものとして形にしたのがCVTです CVTはあらゆる条件下において 変速比を連続無段階に調整することができます 無段変速の発想自体は古くからあり 1900年代初めにはアメリカのランバートが フリクションドライブカーを発売しています 1959年にはオランダのダフが DAF600に バリオマチックというゴムベルト式のCVTを採用しています その後スチールベルトがオランダのファン・ドルネ社から開発されました このスチールベルトを用い世界で初めて電子式CVTを搭載した量産車が スバルのジャスティでした 2000年代に入ってから日本ではCVTが急速に普及しました 大量生産によって価格が下がったこともあり
(02:28) 特に軽自動車では圧倒的な採用率となっています 現在CVTで主流の金属ベルト式CVTのしくみです 金属ベルト式CVTは 変速機構、V字型の溝を持つプーリーを油圧で制御するオイルポンプ、 発進クラッチ、前後進切り替え機構で構成されます 変速機構は金属Vベルトと2つのプーリーの組み合わせです 金属ベルトは数百個のV角をもつ薄い鋼製エレメントと それを両側からはさみつける2組の10枚程度の薄いバンドで組み立てられます この金属ベルトは、油圧によって溝幅を変えられる入力側(ドライブ側)と 出力側(ドリブン側)の二つのプーリーに掛け渡されます どちらのプーリーも油圧で金属ベルトをしっかりと挟み込みながら
(03:35) プーリーの径を滑らかに変化させることができます この際プーリーがベルトを挟むのに高い油圧を必要とします 金属ベルトのバンドはプーリーに直接は接触せずエレメントをプーリーに押し付け エレメントはプーリーとの摩擦力で動力を伝えます 金属ベルトの動きは 1つ1つのエレメントがその前の位置のエレメントを押しています 従来のローギアの状態は エンジン軸側のプーリーの径が最も小さくなります これはMT車やAT車の1速や2速の状態と同じで ゆっくりとしたスピードで走るのに適しています 一方、ハイギアの状態では先ほどの逆となり エンジン軸側のプーリーの径は最も大きくなります 2つのプーリーはアクセル開度や車速などの条件に応じて 変化する油圧で溝の幅が増減します
(04:40) そして金属ベルトの位置がプーリーの溝の中で移動します アクセルを踏み込むとエンジン軸のプーリーの溝が広がり 金属ベルトがプーリーの中心方向に沈みます 一方、逆のプーリーの溝は狭くなります プーリーの溝に圧迫されて 金属ベルトはプーリーの外周方向へせり上がります CVTはこの二つのプーリーの伝達ピッチ径を スムーズに変化させることで変速を行います CVTの最大のメリットは減速比が連続可変であることです つまり速度が変化してもエンジンの熱効率が高い領域を維持しやすく 燃費を高めることができます また急加速の時は、まず最高出力が出る回転数まで持っていき そこから徐々にハイレシオ側に振っていけば
(05:48) 最高出力を維持したまま加速することができます つまりエンジンの潜在能力をフルに引き出して加速することができます CVTは無段変速機という名の通り 無段階に変速比を変更できます そのため変速ショックというものがありません 通常のトルクコンバータ式ATは 変速の時にショックが発生してしまいます 変速時のショックの大きさは乗り心地や運転操縦性に影響を与えます CVTなら加速や減速の時に シフトチェンジの段差のないスムーズな走行が可能です CVTは構造が比較的単純なため トランスミッション自体の重量は トルクコンバータ式ATと比べると軽くなります CVTは他の変速機と比べて伝達効率が低いです
(07:07) CVTの構造でしっかりと駆動力を伝えるには プーリーがしっかりとベルトを挟み込む必要があります それには大きな油圧が必要で 油圧ポンプを駆動するためのパワーロスが駆動損失となります そしてCVTは構成部品の摩擦損失が大きいです 金属ベルトは複数枚の層が積み重なってできています プーリーに沿って回転する際はベルト間に滑りが生じます ベルトに並んだエレメントも同じように プーリーを回る時は、エレメント同士やエレメントとベルトの間に滑りが生じます これも伝達のロスとなります 伝達効率は軽自動車のCVTでは40km/hで76% 100km/hで81%という報告があります チェーン式での最高効率は90%です ちなみにMTの伝達効率は98%以上と言われています
(08:22) ドライバーの意図と関係なく変速比が変わるCVTは ラバーバンドフィールというものを生み出しました アクセルを踏み込んでいるのに加速せず まずエンジン回転数だけが跳ね上がります 続いてエンジン回転数は一定なのに速度だけが高まっていきます もう少し詳しく見ていくと  低回転から加速するときまずペダルを踏む 現状の回転数と変速比では加速トルクが得られないので エンジンが最高出力を発揮する回転数になるように CVTの変速比をロー側にする エンジンの回転数は最高出力発揮点に保ったまま 変速比を徐々にハイ側にしていく 一方ATやMTはまず変速比をローにして エンジンの回転数を高めていきます CVTと他の変速機では、まずエンジンなのか まず変速機なのか、に違いがあります この現象はドライバーに違和感を感じさせる要因となっています
(09:33) しかし近年のCVTは加速時には エンジンの回転上昇に合うように制御し改善がなされています このグラフは日本、欧州、北米の各地域の工場で 2019年に生産された車を変速機別にまとめたものです 日本のCVT率が突出して高いです 一方、欧州ではMTが約半数を占める中 ATとDCTの割合も多いです 北米市場ではCVTを搭載した日本車がスバル車を筆頭に 徐々に認められ始めています さて欧米のメーカーはなぜを採用したがらないのでしょうか まずCVTの効率の悪さです A 効率が悪くなる原因の金属ベルトの滑りは 2つのアプリの巻掛け半径差が大きくなるほど大きくなります
(10:41) 伝達効率はプーリー比が1:1の時に最大となり それより低速になっても高速になっても効率は徐々に落ちていきます 金属ベルト式CVTではシステム全体の効率は80%台で 高速側と低速側では70%前後まで低下してしまいます 高速巡航時の燃費が悪くなってしまいます 欧州では低速の大トルク運転が低燃費の鍵となる 過給ダウンサイジングが主流となっています このような条件の下では、低速域が苦手なCVTより 遊星歯車式ATの方が有利になっています 欧州でCVTではなくDCTが主流であることも理由の1つです DCTはマニュアルトランスミッションの構造をベースとしており MTの生産設備があれば簡単にDCT化が実現できます またエンジンもMTとの組み合わせを前提とした特性を持たせており
(11:53) DCTとのマッチングも比較的容易にできます 欧州では現在もMTが主流なので 生産効率を考えればCVTでなくDCTの採用は多くなります またDCTは高速や長距離走行の駆動ロスが少ないことも 欧州では適した変速機となっています 変速機選択の背景では道路交通環境も大きな要因の1つです 市街地での平均速度、 信号や一時停止からの再発進で使われる加速度、 郊外路や高速道路で乗用される速度域、そして法定速度 これらが日常での車の使い方を大きく左右します こうしたデータは国ごと地域ごとに揃っており それをもとに車は設計されています 世界で最も乗用速度域が広い国はドイツです
(13:00) アウトバーンに速度無制限区域を残しており 一般道でも空いていれば90km/h以上も珍しくありません 信号は少なく、合流時に前方優先の環状交差点も多いです そして燃料の価格が高いという状況であれば 高効率でドライブフィールのいいDCTが 人々に受け入れられるのもうなずけます 一方、日本の交通環境はこれとは異なります 制限速度は高速道路でも長らく100km/hだったため CVTでも伝達効率が悪化する領域に踏み込む機会は少なめです 郊外路でも起伏やカーブが多く エンジンの負荷変動は頻繁に起きます 市街地では信号がたくさんあり ストップ&ゴーが多い道路状況となっています こうした走行環境はCVTのメリットを享受しやすいです 日本ならではの軽自動車の存在も
(14:09) CVTの普及に影響を与えたと考えられています 排気量が制限されている軽自動車では 少ないトルクで発進加速が良い方が好まれます 高速走行は自主規制値の140km/hまでを考慮するとなると レシオカバレッジが5.5〜6.0までが理想です レシオカバレッジとは変速機の変速比幅とも呼ばれ 最も低速のギア比を最も高速のギア比で割って求める値です この値が大きいほど エンジンが低回転のままで走ることができる車速の幅が広いことになります 燃費にも有利です これを4速AT車では実現するのに無理があり 5速以上のATにするには軽自動車にとってスペース的に不利です CVTは一般に5.5〜6程度のレシオカバレッジなので 軽自動車にとってに都合の良い変速機です
(15:15) また変速ショックがないのも 軽自動車のユーザーに受け入れられる要因の1つです そして2011年からのカタログ燃費の基準であるJC08燃費の計測において MTやトルコンATと比べて燃費が良かったという事実もあります 変速機は機械としての効率だけでなく その場所での車の使われ方と人々の好みなどが選択に影響を与えます 各メーカーは色々な工夫でCVTの持つネガティブな部分を改善しています そんな進化を遂げたの 一部を見ていきます スバルはリニアトロニックという独自のÇVTを持ちます その特徴は他車のCVTがプーリーと金属ベルトを組み合わせているのとは異なり プーリーとチェーンを組み合わせているところです
(16:25) チェーンとなることでCVT機構全体のコンパクト化を果たし 室内空間を広くすることができます また金属ベルト式よりも耐久性や加速レスポンスが向上しています WRXS4のエンジン最大トルク400Nmという ハイパワーにも対応しているタイプのCVTもあります 日産のエクストロニックCVTは プーリー比を変える油圧を状況に応じて微細に電子制御を行います また金属ベルトの改良なども加え ローからハイまでのの変速比の幅を大幅にアップさせています また伝達効率90%を超えるCVTを搭載したキャッシュカイが 欧州で発売されています CVTでは難しいとされていた伝達効率90%の壁を越え これまでにないレベルの完成度を実現しています
(17:31) トヨタとアイシンAWが共同で開発したダイレクトシフトはCVT 変速スピードの向上によってダイレクト感を上げています そしてワイドな変速比を実現することによって 燃費の向上を実現しています ダイハツが単独開発したCVTは デュアルモードCVTと呼ばれます 高速域での改善がなされています 発進から中速域までは通常の金属ベルト式で 高速域に入るとクラッチに接続して 動力分割機構にパワーが伝わるスプリットモードに移行します この新機構の採用によりD-CVTの変則幅 つまりレシオカバレッジは5.3から7.3へと拡大しています CVT搭載車は国産車ではとても車種が多いので
(18:36) ここではCVTをあえて搭載していない トルコンATの車の一部を見ていきます トヨタでは、アルファード、ヴェルファイア、ランドクルーザー ハイエース、クラウンRS スズキは、ジムニー、クロスビー、スイフトスポーツ、エブリィ、キャリィ 三菱は、デリカD5 マツダは全てのモデルに6速ATがあります ダイハツは、グランマックス ホンダはNSXが9速DCTを搭載しています CVTはヨーロッパで発明され 日本で独自の変化を遂げて進化してきました これから先はEVにCVTを採用するという可能性もあるかもしれません 日本ではMT、AMT、ステップAT、CVT、DCTと
(19:51) 全ての変速機を作ることができます これからのトランスミッションの進化に期待したいです 皆さんはどのCVTがお好みですか では皆様 ごきげんよう

参照

https://www.youtube.com/watch?v=favmk6lomXQ

https://www.youtube.com/watch?vZ8t94klQAotU&list=WL&index=3&t=113s

https://www.youtube.com/watch?v=DhNIJUYmyNw

https://www.youtube.com/watch?v=5xzezJf0NMQ

https://www.youtube.com/watch?v=JvUTiNvCgqM

https://www.youtube.com/watch?v=LZ5otAUTGbA

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