シール (工学)

シール (工学), by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=923370 / CC BY SA 3.0

#シール_(工学)
#機械要素
#配管
シール(英: seal)は、機械や装置において、液体や気体の外部への漏れや雨水や埃などの内部への侵入を防ぐ部品や素材の総称。
外部のごみや異物が内部に侵入するのを防ぐ働きもする。
宇宙ロケットから各種機械装置、家庭のガス・水道の配管、壁のひび割れの補修まで非常に幅広く使われる。
普段あまり目立たない部品であるが、機械の性能維持に重要な役割を果たしている。
1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故も固体ロケットブースター内部のOリングの機能不全が原因とされている。
元の意味は英語の印章 (seal) 。
西洋では文書を封緘する際に溶けた蝋を糊代わりに使い、その蝋に印章を押すしきたりがあったので、封印することもシールと呼んだ。
そこから転じて封じるもの・密閉するものをシールと呼ぶようになった。
記録に残っている物では、紀元前2000年頃のメソポタミア文明の古代バビロンがある。
ギリシアの歴史家ディオドロスが書き残した記録によると、ユーフラテス川の川底を横断するトンネルが建設され、そのトンネル壁はレンガが積まれアスファルトで防水処理されていた。
アスファルトによる防水はその後長く使われ、特に地中海沿岸では造船に広く使用された。
マルコ・ポーロの東方見聞録には、当時のヨーロッパ船の防水にアスファルトを使用することが一般的であった記述がある。
シールが工業的に重要になったのは蒸気機関が発達した18世紀頃からである。
蒸気機関は高温・高圧の方が熱効率が高いので、シールの性能が非常に重要になった。
現代のシールは固定用途に使われるガスケットと、運動部分・可動部分に使用されるパッキンに分類される。
各シールについては、この項内で概略を解説する。
各種打ち抜きガスケット、サイズは10cm。
目的に応じて様々な素材や形状がある シール部分がボルト等で固定されているものをガスケットと呼ぶ。
ガスケットは配管の接続面(フランジ)、エンジンのヘッドカバー、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、オイルパン各面の接合部などに使用される。
Oリングやゴムシート等のソフトガスケット、金属を加工したメタルガスケット、金属と非金属を組み合わせたセミメタルガスケット、ネジ部分に広く使われているシールテープや液状シール、紙やコルクなどがある。
身近にあるパッキン、水道の蛇口の栓の下方にある止水用パッキン、黒い部分が硬質ゴム パッキン(日: 衛帯,英: packing)とは,シールと接触する部分で回転運動や往復運動をしたり、繰り返し着脱する場合を指す。
ポンプやモーターの軸やバルブの可動部のような回転部分、ピストンのような往復運動部分、カプラーの接続部・水道蛇口の止水部などに使われる。
シールが運動部分と接触している接触シールと、そうでない非接触シールに分類される。
接触シールには目的に応じて多様な種類がある。
流体の圧力を利用して密閉性を高めるタイプをセルフシールパッキンと呼び、Oリングやリップパッキンが該当する。
比較的低い圧力の油圧機器や潤滑油の密閉に使われるオイルシールは、シール部材(ゴムあるいはゴム+金属)自身の弾性で密閉性を確保する。
メカニカルシールはコイルバネの力を利用して密閉性を確保する。
回転軸などによく使われるグランドパッキン(軸封部品)は、軸と固定部の間に繊維製品(編組グランドパッキン)や、金型成形された膨張黒鉛シート(ダイモールドパッキン)など、柔軟で潤滑性のある詰め物を挟んでシールする。
糸やフェルトも古くから使われている。
非接触シールには、ラビリンスシールと磁性流体シールがある。
シールに要求される性能は使用される条件によって多様である。
シールに使われる素材は、温度・圧力・耐性などの条件に応じて単独や組み合わせて使用される。
有機材料として、天然ゴムの他にニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴム、シリコーンゴム(骨格となるシロキサンは無機材料。また通常加硫を行う事は無い(ただし添加剤として硫黄が用いられる事はありうる。)。
)、四フッ化エチレンゴム(テフロン)樹脂、麻や綿などの植物繊維、さらには牛革をなめし加工した皮革などが使用される場合もある。
(また、石綿(アスベスト)を用いたシールの代替として用いられるようになった”ノンアスベスト”(非石綿繊維、ゴム及び硫黄等の配合剤を混合して圧延したシール素材がノンアスベストと呼称される(その配合…

関連記事一覧

Skip to content