小さな小さな半導体製造システム ミニマルファブ【産総研公式】

「ミニマルファブ」 は、多品種少量および変種変量生産ニーズに適応できる、まったく新しい半導体生産システムです。設備投資が少額で済み、 短期間でデバイスが製造可能なため、半導体製造の新しい生産技術として注目を集めています。
産総研では、100社以上の企業とともに研究開発と実用開発を推進しています。
http://www.minimalfab.com/

 

【書き起こし】小さな小さな半導体製造システム ミニマルファブ【産総研公式】 –

(01:29) ミニマルファブのコンセプトをお話しします まずこちらの上の図をご覧ください これは今までメガファブ 巨大な工場というのは投資額が 5000億円ぐらいになります それに対して下のミニマルファブというものは 投資額は5億円です つまり、投資額はだいたい1000分の1になります ウェハのサイズですが今までは300mm 12インチでしたが ミニマルファブでは 0.5インチ 12.5mmの直径になります これは、面積的にはだいたい1000分の1になっています 投資額も1000分の1 ウェハのスループット 同時に生産する量も1000分の1になります もうひとつのポイントは 今までクリーンルームが必要だったので 防塵服を着ていました 巨大なクリーンルームで 投資コストとそれから運転コストが かなりかかっていました それに対してミニマルファブでは 完全密閉の搬送システムを作りますので
(02:35) クリーンルームはいらない 防塵服もいらない それからクリーンルームそのものが 必要なくなりますので 非常に安いコストでものを作って オフィスに近い環境でものを作る ことができるようになります 続いて私たちの狙っている ターゲット市場についてお話します これを見ていただきますと 横軸に1つのデバイスのチップの生産個数を 1個。究極の手作りですね それから、”1億”という地球のものづくりだったら、 だいたいこれに全部入ってしまう というような総計8桁の ワイドレンジでものの生産コストをとってやります 縦軸には 1平方センチメートルあたりの チップコストをとります そうしますと、例えば 微細加工のデザインルールが 古い世代の250nmの場合 コストはこのように 1個からずっとずっと下がってきて、 1万個で1万円になって、そのあと飽和傾向を示します これは非常に意外なことで、 ここのところまでは量産効果でずっと下がりますが
(03:45) 10万個ぐらいのところからは、 完全に飽和しているということがわかりますので、 大量生産というのは実はあまり値段が下がりません そこでわかったのは私たちのマーケットは そうではないところにあるということ つまり、今までの巨大な生産では 達成できないフィールド ここのところは非常に値段が高いですね これが余りにも高くて、個数が少ないと 割が合わないと言われているわけです そうではなくて私たちは そこのところに適した工場を作ってやれば良いんだ ということに気づいた これが、マーケットの潜在的な掘り 起こしを行ったということになります 驚いたことに 今までのチップコストに対して 1/100。二桁値段が下がっています これは驚くべきことで 多品種少量は高いですねと言われているのですが それは大工場で作る場合です 私たちのような適したサイズの工場で作れば 実はそちらの方安くなる それも100分の1になる だから私たちは個数が1万個未満のものに対しては 絶大な価格競争力を 持っているということがわかります
(05:08) ミニマルファブプロジェクトリーダーの原です 21世紀のものづくりを語る前に まずは20世紀のものづくりを振り返ってみますと ご存知の通り 20世紀は大量生産の時代 でした 限られた企業が 製品を作るための技術や設備を独占していました 特に私たちが取り組んでいる半導体製造に関しては それが顕著でした 大量生産するほど 1個当たりの製造原価が下がるので 一度に何十万、何百万と 半導体を製造するのが当たり前で 1万個以下の半導体は割に合わず、 切り捨てられていました 逆に言えば 本当は1万個以下の半導体にもニーズはあるのです 私たちはこれまで当たり前だと思われてきた 大量生産という考え方を捨てて 半導体を 少量で多品種作る という考え方にシフトしました それがミニマルファブです 半導体さえ少量で作ることができれば
(06:13) それを組み込む製品は 3dプリンタで1個ずつ作っても良いですし オーダーメイドで 工場でつくることも可能になります 今までは消費するだけだった個人が これからはメーカーになるのです 例えば、秋葉原にミニマルファブの装置を置いた アンテナショップを作ったとします そこで作るチップの設計図は そのお店で売っているものでも良いですし 世界の誰かが作った 素晴らしい設計図を ネットでダウンロードして使っても良い もちろん、自分で設定してもよいのです 要するに、自分の欲しい製品を1個から 作れるようになります 小さな会社やベンチャーも 製品化のハードルはぐっと下がります 数百個単位 数千個単位でしか売れない ニッチな家電も ビジネスとして成り立つようになります 半導体チップが数日で、できるようになりますから 大企業での半導体チップの開発も高速化されます その結果、画期的なアイデアをいちやはく 製品化することができるようになります また、少量多品種という意味では
(07:20) 国ごと地域ごとユーザーごとに ローカライズした製品を 今までよりもずっと作りやすくなります それでは、ミニマルファブができると 日本全体でどのようなことが起きるのでしょうか まず、他所の地域で大量に売ることを 前提としなくてよくなりますから 製造業で地産地消が成り立つようになります そうなると、大企業の下請ではなくなりますから 中小企業から自立していくことになります 地方でも ものづくりが圧倒的にやりやすくなります それぞれの日本人の持っている知恵を活かして 良いものを作っていくことができるようになります また、海外の覇権メーカーと 大量生産というステージで勝負しなくてよくなります 中小企業での輸出ということが 現実的になっていきます 大企業においては バラエティに富んだ商品を 必要に応じて提供できるようになります 好不況に左右されずに 売り上げの平準化を進めることが できるようになります
(08:25) 何より、巨大市場を気にせず、 チャレンジングな仕事ができるようになります ミニマルファブで 日本のものづくりは次のステージに進んでいきます

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