直流原動機・モーター

直流原動機(DCモーター)は、直流電源を用いて機械的エネルギーを生成する電気機器です。製造業において、その単純な制御性と高いトルク性能が重要な役割を果たし、さまざまな産業機械やロボットなどに利用されています。

直流モーターは、主に以下の構造から成り立っています。

ステータ:磁場を生成する固定子で、永久磁石や電磁石が使われます。
アーマチュア:回転子で、電流を流すコイルが巻かれています。
コミュテータ:アーマチュアコイルに直流電源を供給する役割を果たします。
ブラシ:コミュテータに摩擦接触し、電流を伝える部品です。
モーターの回転は、アーマチュアコイルに流れる電流がステータの磁場と相互作用することで発生します。この過程で、コミュテータとブラシが電流の方向を適切に切り替えることで、回転方向が維持されます。

製造業において、直流モーターは主に以下の特徴から評価されています。

高トルク:低速域でも高いトルクが得られるため、精密な制御や力を必要とする用途に適しています。
簡単な制御:速度や回転方向が電源電圧や極性の変更により容易に制御できるため、システムの簡略化が図れます。
可逆性:回転方向が容易に変更できるため、逆回転やブレーキ制御が実現可能です。
ただし、ブラシ摩耗やノイズ、メンテナンスの問題があるため、近年では無ブラシDCモーターやACサーボモーターなど、より効率的で長寿命な代替技術が普及しつつあります。それでもなお、直流モーターは製造業において重要な電動機の一つとして、多くのアプリケーションで活躍しています。