裏波溶接

アーク溶接の一種である裏波溶接(backstep welding)は、構造物の継ぎ目を連続的に溶接する際に使用される技法です。裏波溶接は、歪みや応力の蓄積を抑えることを目的としており、一般的には板材やパイプの接合に適用されます。この方法は、溶接の方向とは逆方向に進行するように、短い区間を交互に溶接していくことで特徴づけられます。

裏波溶接の手順は以下の通りです。
1. 溶接対象の部材を適切にクリーニングし、適切な溶接準備を施します。
2. 溶接パターンを決定し、短い区間ごとに交互に溶接します。たとえば、左端から右端までの継ぎ目を5つの区間に分ける場合、1番目の区間を溶接した後、3番目、5番目と進み、その後、2番目と4番目の区間を溶接することが一般的です。
3. 溶接パスを一定のスピードで維持し、溶接線の高さと幅を均一に保ちます。これにより、良好な品質の溶接継ぎ目が得られます。

裏波溶接の利点は以下の通りです。
1. 溶接歪みや応力の蓄積を低減し、継ぎ目の品質と強度を向上させます。
2. 熱影響範囲(HAZ)の均一化が促され、材料の熱劣化を抑制します。
3. 複数の溶接工程がある場合、次の工程が始まる前に冷却時間を確保できます。

ただし、裏波溶接には欠点もあります。例えば、溶接作業が連続的でないため、作業効率が低下することがあります。また、溶接プロセスの制御が困難であるため、熟練した技術者が必要です。

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