無電解ニッケルめっき

無電解ニッケルめっき(Electroless Nickel Plating)は、電気を用いずにニッケルを金属表面に均一に析出させる表面処理技術です。水溶性のニッケル塩、還元剤、安定剤、緩衝剤などから成るめっき液を使用し、化学反応によって金属表面にニッケルの膜を形成します。

この方法の利点は、電極を必要としないため、複雑な形状や非導電性素材にも容易に適用できる点です。また、めっき厚が均一で、高い耐摩耗性、耐腐食性、硬度を有することから、自動車、航空宇宙、電子機器、石油化学産業など幅広い分野で利用されています。

無電解ニッケルめっきの主な種類には、純ニッケルめっき、コンポジットめっき(添加物を含む)、高リン含有ニッケルめっきなどがあり、用途や性能に応じて選択されます。特に高リン含有ニッケルめっきは、耐腐食性が向上することが特徴です。

めっきの品質や性能を保つためには、めっき液の管理が重要です。適切な温度、濃度、pH、添加剤などの制御が求められます。また、前処理やめっき後の後処理も重要で、前処理により金属表面をきれいにし、後処理により膜の密着性や耐腐食性を向上させます。

無電解ニッケルめっきは、その特性から、機械部品や電子部品の耐久性や寿命を延ばすために有用な表面処理技術として広く活用されています。