陽極酸化処理

陽極酸化処理(アノダイジング)は、アルミニウムやその合金表面に、耐食性や摩耗性を向上させる目的で膜を形成する電気化学的な技術です。この処理は、酸性電解液中でアルミニウム製品を陽極として電流を流すことで行われます。適用される電圧や電解液の種類、温度、時間などの条件によって、膜の厚さや性能が変化します。

陽極酸化の主なタイプは、硫酸アノダイジング(Type II)、硬質アノダイジング(Type III)、クロマ酸アノダイジング(Type I)があります。硫酸アノダイジングは、硫酸を用いた一般的な方法で、10-25μm程度の厚さの膜を形成します。硬質アノダイジングは、50-100μmの厚さの膜を形成し、耐摩耗性に優れています。クロマ酸アノダイジングは、クロム酸を使用し、5-10μmの薄い膜を形成しますが、耐食性に優れています。

陽極酸化膜はアルミニウム表面上の酸化アルミニウム(Al2O3)で構成され、高い硬さと耐食性を持ちます。また、多孔性があるため、後処理として染色やシーリングが可能です。染色により様々な色が付けられ、シーリング処理で耐食性が向上します。

陽極酸化処理は、自動車部品、航空機、建築材料、家電製品、スポーツ用品など幅広い分野で利用されており、アルミニウム製品の性能向上や美観性の向上に寄与しています。