機械設計技術 モータ軸の許容ラジアル荷重

モータ軸にかかるラジアル荷重の算出方法とモータ軸の強度の考え方について解説しています。モータ許容ラジアル荷重とは何か?を詳しく解説しています。

 

【書き起こし】機械設計技術 モータ軸の許容ラジアル荷重

(00:19) こんにちは中村です。 いつもご視聴ありがとうございます。 このチャンネルでは Inveteor 3DCADの使い方や、 機械設計についてお話ししています。 今日はモーター軸にかかる、ラジアル荷重の算出方法 についてお話ししていきます。 今日お話しする内容は、次の3つですね。 1つ目、ラジアル荷重とは 2つ目、許容ラジアル荷重の位置 3つ目、トルクからラジアル荷重を算出 それでは今日も、Inventor のアニメーションを使って 詳しく解説していきます。 はいそれでは、ラジアル荷重について 解説していきたいと思います。 これがモーターを横から見た図です。 モーターの軸が、出っ張っていると思いますけども このモーターの軸には、色々な荷重が かかります。 軸方向にかかる荷重を、スラスト荷重と言います。 そして軸に直角の方向にかかる荷重を、 ラジアル荷重と言います。 そしてこのラジアル荷重は、 モーターによって受けられる荷重が、決まっています。
(01:32) モーターメーカーのカタログには、必ず 許容ラジアル荷重というのが、うたってあります。 モーターを 半断面にしてみました。 許容ラジアル荷重というのは、 軸のどの位置に、 どれくらいの力をかけて良いかの、指標となります。 これは軸の強度とか、ベアリングの寿命を考慮した 値となっています。 モーターの軸に必要以上の力がかかると、 モーターの軸は、片持ちなので たわむことになります。 たわんだ状態でモーターを回すと、 モーターの軸は交番荷重を、受けることになります。 交番荷重というのは、 上下に繰り返して荷重を受けることです。 これは軸にとって、強度的に非常に過酷な力の かかり方になってきます。 これを避けるために、モーターの軸には 必ず許容ラジアル荷重が、設定されています。 はいそれでは、ラジアル荷重の具体的な内容を、 解説してくれているページをご紹介します。 こちらがオリエンタルモーターの、技術資料のページです。
(02:39) このようにラジアル荷重と、 アキシアル荷重について解説してくれています。 軸の先端からどの位置に、ラジアル荷重をかけて良いか、 という指標が書かれています。 具体的な数字を見ていきたいと思います。 はいここの表にあるように、 これはギアヘッドの出力軸の先端からの距離と、その位置にかかる ラジアル荷重の許容値が書いてあります。 例えば一番上の減速比、5から25のやつを 見てみますと、 先端から10mmのところでは、150Nが かけられます。 先端から20mmのところでは、200Nまで かけられると、そういう意味ですね。 それで、一番右の欄は許容アキシアル荷重、許容 スラスト荷重の値が書いてあります。 このように具体的に、 モーターメーカーの資料から読み取って、 その値以下になるような、設計を しなければなりません。 詳しい計算の内容は、こちらに書いてあります。 これは駆動方法とか、サービスファクタとか そのあたりの係数を 盛り込んだ計算になります。
(03:43) 概要欄にリンクを貼っておきますので、 後でご覧になってみて下さい。 はいそれでは、ラジアル荷重の具体的な算出 方法について、解説していきたいと思います。 このように モーターで駆動させて 荷物を 持ち上げる機構を考えてみました。 モーターがピニオンと、大ギアをかいして、 ラックを持ち上げる機構です。 少し動かしてみようと思います。 はいこのように、ラックが上に上がっていって、 荷物を持ち上げる機構です。 この機構を考えた時に、 モーターにはどれぐらいのラジアル荷重が、 かかるのかというのを 解説していきたいと思います。 はい先ほどの機構を、正面から見た絵に 切り替えました。 このラックの上に荷物が乗っているとして、 その荷物の重さをWとしましょう。 そうすると反対側の、 モーターのピニオンギアと、大歯車、 茶色い歯車との 噛み合っているところに、 同じ力Wが働きます。 これを接戦力と言いますけども
(04:51) この接戦力が、そのまま モーターの軸に、ラジアル荷重としてかかります。 ですから、その理屈から言うと 荷物の重さWが、そのままラジアル荷重に なると、いうことになります。 ただしですね、これ負荷側から見た、荷物の重さ側から見た、 計算になるんですけども、 この今の機構で言うと、損失があります。 どういうことかというと、 Wがそのまま モーターのトルクに、必要な力かというと そうではなくて、このラックを支える ガイドの摩擦とか、このギアの摩擦がありますね、 これで損失をします。 摩擦があるということは、それだけ 力がもっと必要だと、いうことになります。 それで、ここで計算として難しいのは、 摩擦がある部分っていうのは 機械を使っていくと、グリスの劣化とか摩耗で 機械損失が大きくなります。 もっと平たく言うと 抵抗が大きくなる、ということですね。 ですからモーターにかかる、ラジアル荷重も 大きくなってしまうんですね。 ですから、今ご紹介したように
(06:00) 負荷側から、ラジアル荷重を算出するというのは、 条件的には 楽な方法になるんですね。 ですから、私がいつもやっている方法は、 モーターの最大トルクから、ラジアル荷重を算出する方法です。 モーターの最大トルクから、ラジアル荷重を算出しておけば、 モーターの最大トルク以上の、 ラジアル荷重はかかりませんので、そうすることで 安全な設計ができると思います。 それではその方法を、解説していきたいと 思います。 はいそれでは、 モーターの最大トルクから、ラジアル荷重を 算出する方法を解説していきます。 このラックの上に、100Nの荷物が載っているとします。 約10㎏ですね。 この荷物を持ち上げるのに、必要なモータートルクを 算出していきます。 ラックの上に、100Nの荷物が乗っている ということは、 ギアが噛み合っているところ、 ピニオンギアと茶色のギアが、噛み合っているところに、 発生する接戦力は、そのまま100Nということになります。
(07:08) そしてこのピニオンの半径を、 7.5mmだとすると モーターに必要なトルクは、100×7.5 で 750N・mmということになります。 そして考慮しないといけないのは、 機械損失ですね。 ピニオンギアのところの、減速機の機械損失。 それからラックの上下するところの、 案内機構の損失があると思います。 これをそれぞれ20%ずつ 損失するとします。 そうすると、先ほど 算出した モーターに必要なトルクが、 750÷0.8÷0.8で1172N・mm 必要だということがわかります。 機構で20%ずつ、2か所損失することで、 モータートルクは 1172N・mm必要だ、ということですね。 そしてさらに、安全率ですね。
(08:13) モーターのトルク、ギリギリではダメだと 思いますので、 安全率を考慮します。 安全率を1.5とすると、1172 ×1.5で モーターに必要なトルクは、 1758N・mmということになります。 はいそれでは、1758N・mmという トルクが必要だとわかりました。 そして モーターのカタログから、 この1758N・mmを 超える、トルクのモーターを選びます。 そのモーターの発する、最大トルクが2000N・mm だったとしましょう。 そして、この黄色のピニオンの半径が 7.5mmだったとします。 そうすると2000N・mm ÷7.5mmで、ここに発生する 接線力Fは、266.6 Nということになります。 これがモーター軸にかかる、 ラジアル荷重ということになります。 この 266.6Nのラジアル荷重が、 モーターメーカーのカタログで
(09:25) 許容範囲に収まっているかどうか、というのを 確認すれば良いと、いうことになります。 はい、横から見た絵に切り替えてみました。 先ほど計算した、発生するラジアル荷重266.6N これがここのピニオンギアの中心に、かかるわけですね。 この266.6Nが、モーターカタログで 許容しているかどうかを判断します。 はい、こちらのオリエンタルモーターの ページに、戻りました。 この表にあるように、 許容ラジアル荷重の値、これがどの位置に かかっているかによって、 許容される荷重が変わってきますので、 この表から、許容しているかどうかを判断します。 例えば減速比が、30から360のところを見ると、 ギヤヘッドの出力軸先端からの距離が 10mmだと200Nまでしか、許容してません。 先端から20mmの位置だと300Nまで 許容してます。
(10:31) ということで、ピニオンギアをつける位置を 先端から20mmの位置に 配置すれば、300Nまで許容できる ということですね。 はい、モーターの絵に戻ってきました。 このピニオンギアの位置が、 例えば先端から、これが10mmの位置だとします。 これだと200Nまでしか許容できないので、 先端から20mmの位置に、 移動させなければならないということです。 はいピニオンギアを、先端から20mmの位置に移動させました。 このようにギアを、シャフトのどの位置につけるかによって、 許容されるラジアル荷重が、変わってきますので そのあたりも考慮して、設計する必要があります。 これが許容ラジアル荷重の、検討の 仕方ということになります。 はい、それでは今日の動画は以上となります。 今日もご視聴ありがとうございました。 また次の動画でお会いしましょう。

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https://www.orientalmotor.co.jp/tech/teruyo/vol54/#:~:text=%E8%A8%B1%E5%AE%B9%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%AB%E8%8D%B7%E9%87%8D%E3%81%AF%E3%80%81%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC,%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%82%88%E3%80%82

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