ものづくりの基礎 熱処理⑤ 平衡状態図

金属熱処理の王道、「平衡状態図(へいこうじょうたいず)って何?ヒカリ㈱は、金属のワイヤを開発・製造・販売しているメーカーです。

 

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【豆知識】熱処理の平衡状態図について

熱処理の平衡状態図、特に鉄-炭素系相平衡図は、鉄と炭素の合金、すなわち鋼の組織や相が温度と組成によってどのように変化するかを視覚的に表現したものです。この図は鋼材の熱処理設計に不可欠なツールであり、材料工学の基礎的な学習材料でもあります。

図の横軸は炭素含有量(最大約6.7wt%まで)、縦軸は温度(室温から約1600℃まで)を表します。図の中には、フェライト、オーステナイト、セメンタイト、パーライト、レデブライトなどの相の領域が描かれています。

フェライトは体心立方晶構造を持つ鉄の組織で、低炭素鋼に主に見られます。それは強度と延性が特徴です。セメンタイトは鉄と炭素の化合物で、硬度と耐摩耗性に優れています。パーライトはフェライトとセメンタイトの交互の層状組織で、中炭素鋼に見られ、強度と靭性に優れています。オーステナイトは面心立方晶構造を持つ鉄の組織で、高温または高炭素状態で存在します。

相平衡図は、特定の温度と組成での材料の微細組織を予測し、適切な熱処理を設計するために使用されます。例えば、焼入れでは鋼をオーステナイト相へと加熱し、急冷することでオーステナイトがマルテンサイトへと変態し、硬度を大幅に向上させます。このように、相平衡図は材料の性質を最大限に引き出すための重要なガイドとなります。

#ワイヤ、#熱処理、#平衡状態図

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